スタッフの青木ポンチです。
今更ですが、2014年のドラマ界を振り返り、
前年の『あまちゃん』『半沢直樹』のような社会現象こそなかったものの、一時の“ばっかり期”(刑事ものばっかり、医療ものばっかり、漫画原作ものばっかり、ジャニーズ・イケメンものばっかり…など)を脱し、意欲的な試みも見られたと思います。
●TBSとWOWOWの越境コラボ『MOZU』
●「マウンティング」システム導入、モノローグ全開の『ファーストクラス』
●バカリズム脚本のシチュエーションコメディ『素敵な選TAXI』
すごく斬新、ではないですが、ドラマ関係者が少しでも新味のあるものを探そうという、いい意味での“すきま狙い”が感じられました。
僕自身も「おお、これは新しいかも」と感じ入った5本をあげてみます。
⑤続・最後から二番目の恋(フジ)

「待ってました、小泉屋、中井屋!」と声をかけたくなる定番感。現代日本のホームドラマの新たなスタンダードとなった感があります。一座の座長であり、永倉家の家長でもある中井貴一は「台本が存在しないんじゃないか」と思えるフリートークぶりで、もはやドラマの筋立てはないも同然というか、「ストーリー放棄」という新境地に突入した感すらありました。
逆に、本作は「貴一の部屋」というトークバラエティーであり、毎週木曜夜、酒場トークを楽しむ『ヨルタモリ』に近い番組なのかも。僕も、まんまと貴一マスターとダベりたくなった一人です。脇では、市長役の柴田理恵が秀逸でした。
④ロング・グッドバイ(NHK)

『カーネーション』の渡辺あやとそのスタッフ、浅野忠信主演とくれば、期待するなというほうが無理というお膳立て。こういうNHKならではの「予算をかけた意欲作」には、今後も注目です。
第一話から、終戦直後を完成度の高い映像世界で再現し、極上の滑り出し。回を重ねるごとに、グダグダッと世界観に悪酔いするような感覚に。小雪と冨永愛というキャスティングが浮世離れ感を際立たせると同時に、プロデューサーは大柄な女性が好きなのか、なんて勘ぐってしまいました。
③アオイホノオ(テレ東)

オープニングからゴキゲン。柳楽優弥の、織田裕二を上回る暑苦しさは、コミック的演出とあいまってハマり役。2014年、いちばん楽しく元気になれたドラマでした。安田顕演じる庵野秀明は、「ほんとうにこんな人なんだろうなあ」と思わせるキャラ立ちぶりでした。
②Nのために(TBS)

タイトル、ストーリー、キャスティング、映像、音楽…すべてがドラマ好きのツボにはまるクオリティー。はじめ、フラッシュバックの多用や思わせぶりな「N」の演出などが鼻につく予感もあったのですが…最終回に向け失速するドラマが大勢を占めるなか、「物語力」「演出力」「演技力」が三位一体となって、回を追うごとに奇跡的な盛り上がりを見せた点は、連続ドラマの理想形でしょう。
ナイーブな若者を演じたら当代一の窪田正孝。抜群の安定感でドラマの重石を果たした三浦友和。何より、とてつもない“絶望と哀しみ”で主人公少女にまとわりつくモンスター母の山本未来は、夢に現れそうな存在感でした。
①家族狩り(TBS)

『Nのために』がサスペンスドラマの王道として完成度を突き詰めたのに対し、こちらは“いまだかつてないドラマ”を見せようという意欲作で、その予定調和のなさ、後味の悪さがずしりと重くのしかかる、踏絵のような作品でした。
焦燥感に駆られ、自分を取り巻くすべてにイラつき、当り散らしながらもがむしゃらに仕事にのめり込む児童福祉士の松雪泰子。ドラマの緩衝材というべきホンワカ感を醸し出しつつ、類稀なる巻き込まれ力で右往左往しまくる伊藤敦史。私生活どん詰まりのやさぐれ刑事・遠藤憲司。じょじょに三者が交わるアンサンブルと、捨てキャラが一人もいない息詰まるエピソードの応酬で、見ごたえは超ヘビー級。最終回のサイコ的なたたみ方はやや凡庸でしたが、それでも2014年見るべきドラマの筆頭だったことに変わりはありません。
【残念賞】若者たち(フジ)

豪華なキャストと映像、森山直太朗の美声、何より往年の名ドラマのリメイクということで、見る前から期待感MAXだった本作。ところが、妻夫木聡の「理屈じゃねえんだよ!」の啖呵→お茶の間で取っ組み合いのケンカ→号泣して仲直り、の無限ループという、昭和ホームドラマの類型的すぎる再現に、初回から置いてけぼり感MAXに。
その後も「大作っぽいし、人間ドラマだし、見ておかないと…」と無駄な使命感にかられて見続けるも、回を重ねるにつれ「理屈じゃねえんだよ!」という魔法の言葉を武器に五兄弟が困難に立ち向かう、往年のジャンプ漫画のような展開に純化。伸び悩む視聴率を前に「あ、制作陣は途中からドラマ作りに悩むことをやめたのかな」と勘ぐってしまう開き直りぶりでした。陰のある“農ガール”に扮する長澤まさみ、いつでもどこでも湿っぽい“深刻顔”全開の吉岡秀隆など、名キャラも多かっただけに残念です。
【男優賞】
主演…柳楽優弥(アオイホノオ)
助演…柄本明(ロング・グッドバイ)、吉田鋼太郎(花子とアン)
【女優賞】
主演…永作博美(さよなら私)
助演…キムラ緑子(家族狩り)、小西真奈美(Nのために)
【脚本賞】花子とアン
【監督賞】Nのために
【映像賞】ロング・グッドバイ
【OP&ED賞】リバース・エッジ(テレ東)
今更ですが、2014年のドラマ界を振り返り、
前年の『あまちゃん』『半沢直樹』のような社会現象こそなかったものの、一時の“ばっかり期”(刑事ものばっかり、医療ものばっかり、漫画原作ものばっかり、ジャニーズ・イケメンものばっかり…など)を脱し、意欲的な試みも見られたと思います。
●TBSとWOWOWの越境コラボ『MOZU』
●「マウンティング」システム導入、モノローグ全開の『ファーストクラス』
●バカリズム脚本のシチュエーションコメディ『素敵な選TAXI』
すごく斬新、ではないですが、ドラマ関係者が少しでも新味のあるものを探そうという、いい意味での“すきま狙い”が感じられました。
僕自身も「おお、これは新しいかも」と感じ入った5本をあげてみます。
⑤続・最後から二番目の恋(フジ)

「待ってました、小泉屋、中井屋!」と声をかけたくなる定番感。現代日本のホームドラマの新たなスタンダードとなった感があります。一座の座長であり、永倉家の家長でもある中井貴一は「台本が存在しないんじゃないか」と思えるフリートークぶりで、もはやドラマの筋立てはないも同然というか、「ストーリー放棄」という新境地に突入した感すらありました。
逆に、本作は「貴一の部屋」というトークバラエティーであり、毎週木曜夜、酒場トークを楽しむ『ヨルタモリ』に近い番組なのかも。僕も、まんまと貴一マスターとダベりたくなった一人です。脇では、市長役の柴田理恵が秀逸でした。
④ロング・グッドバイ(NHK)

『カーネーション』の渡辺あやとそのスタッフ、浅野忠信主演とくれば、期待するなというほうが無理というお膳立て。こういうNHKならではの「予算をかけた意欲作」には、今後も注目です。
第一話から、終戦直後を完成度の高い映像世界で再現し、極上の滑り出し。回を重ねるごとに、グダグダッと世界観に悪酔いするような感覚に。小雪と冨永愛というキャスティングが浮世離れ感を際立たせると同時に、プロデューサーは大柄な女性が好きなのか、なんて勘ぐってしまいました。
③アオイホノオ(テレ東)

オープニングからゴキゲン。柳楽優弥の、織田裕二を上回る暑苦しさは、コミック的演出とあいまってハマり役。2014年、いちばん楽しく元気になれたドラマでした。安田顕演じる庵野秀明は、「ほんとうにこんな人なんだろうなあ」と思わせるキャラ立ちぶりでした。
②Nのために(TBS)

タイトル、ストーリー、キャスティング、映像、音楽…すべてがドラマ好きのツボにはまるクオリティー。はじめ、フラッシュバックの多用や思わせぶりな「N」の演出などが鼻につく予感もあったのですが…最終回に向け失速するドラマが大勢を占めるなか、「物語力」「演出力」「演技力」が三位一体となって、回を追うごとに奇跡的な盛り上がりを見せた点は、連続ドラマの理想形でしょう。
ナイーブな若者を演じたら当代一の窪田正孝。抜群の安定感でドラマの重石を果たした三浦友和。何より、とてつもない“絶望と哀しみ”で主人公少女にまとわりつくモンスター母の山本未来は、夢に現れそうな存在感でした。
①家族狩り(TBS)

『Nのために』がサスペンスドラマの王道として完成度を突き詰めたのに対し、こちらは“いまだかつてないドラマ”を見せようという意欲作で、その予定調和のなさ、後味の悪さがずしりと重くのしかかる、踏絵のような作品でした。
焦燥感に駆られ、自分を取り巻くすべてにイラつき、当り散らしながらもがむしゃらに仕事にのめり込む児童福祉士の松雪泰子。ドラマの緩衝材というべきホンワカ感を醸し出しつつ、類稀なる巻き込まれ力で右往左往しまくる伊藤敦史。私生活どん詰まりのやさぐれ刑事・遠藤憲司。じょじょに三者が交わるアンサンブルと、捨てキャラが一人もいない息詰まるエピソードの応酬で、見ごたえは超ヘビー級。最終回のサイコ的なたたみ方はやや凡庸でしたが、それでも2014年見るべきドラマの筆頭だったことに変わりはありません。
【残念賞】若者たち(フジ)

豪華なキャストと映像、森山直太朗の美声、何より往年の名ドラマのリメイクということで、見る前から期待感MAXだった本作。ところが、妻夫木聡の「理屈じゃねえんだよ!」の啖呵→お茶の間で取っ組み合いのケンカ→号泣して仲直り、の無限ループという、昭和ホームドラマの類型的すぎる再現に、初回から置いてけぼり感MAXに。
その後も「大作っぽいし、人間ドラマだし、見ておかないと…」と無駄な使命感にかられて見続けるも、回を重ねるにつれ「理屈じゃねえんだよ!」という魔法の言葉を武器に五兄弟が困難に立ち向かう、往年のジャンプ漫画のような展開に純化。伸び悩む視聴率を前に「あ、制作陣は途中からドラマ作りに悩むことをやめたのかな」と勘ぐってしまう開き直りぶりでした。陰のある“農ガール”に扮する長澤まさみ、いつでもどこでも湿っぽい“深刻顔”全開の吉岡秀隆など、名キャラも多かっただけに残念です。
【男優賞】
主演…柳楽優弥(アオイホノオ)
助演…柄本明(ロング・グッドバイ)、吉田鋼太郎(花子とアン)
【女優賞】
主演…永作博美(さよなら私)
助演…キムラ緑子(家族狩り)、小西真奈美(Nのために)
【脚本賞】花子とアン
【監督賞】Nのために
【映像賞】ロング・グッドバイ
【OP&ED賞】リバース・エッジ(テレ東)