三字経の教え 中国古典に学ぶ道徳と教養/日本能率協会マネジメントセンター

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三字経の教え [ 銭文忠 ]

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(以下、勉強と言うよりは読み物として読んでいただければ幸いです)。

私がお世話になっている教室は、東京都足立区北千住と埼玉県越谷市の二か所で行われています。

北千住教室では論語と菜根譚(さいこんたん)を、越谷教室では毎回新しい漢文を題材にそれらを素読し学んでいます。
今日は、越谷教室で学んだ『三字経(さんじきょう)』の中から一部抜粋して、ご紹介していきたいと思います(2015年5月25日(月)に行われた授業内容)。
『三字経』をご存じの方、漢文を学んで既に知っている方には復習になってしまうかもしれませんので、読む必要を感じなければスルーしてください。

まず、『三字経』とは・・・
宋の国の「王 伯厚(おう はくこう)」と言う人物が表したものです。
歴史的な事実を三字一句として叙述した。子供向けの啓蒙書です。

三字経は、前半が中国の古典に由来するものが多いようです。
(伝統・価値観・儒教倫理・モラルなど)
後半は、中国の歴史に関することが書かれています。
子供が漢字を修得する為の啓蒙教材として使われてきたようです。

※『三字経』は三字で一小句となり、六字で一大句になります。

●卒業式の「ほたるの光」の歌詞の元!?
このお話には、晋の国の車胤(しゃいん)と孫康(そんこう)と言う人物が登場します。
二人の家は貧しく、それぞれ明かりを灯す油を買うことが出来ませんでした。
車胤(しゃいん)は蛍を袋に入れて、孫康(そんこう)は雪明かりで読書した話です。

以下原文になります。
(三字経の原文)
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如攘蛍 如映雪 家雖貧 学不輟
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もしくほたるをふくろにし

もしくはゆきにえいず

いえまづしといえども

まなびてやまず

(意味)
晋の車胤(しゃいん)は蛍を嚢(ふくろ)に入れて、
晋の孫康(そんこう)は雪明かりで読書した。
彼らの家は貧しかったが、
学んで止めることはなかった。

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私はこの三字経を読み進めていくにつれて、故事成語の『蛍雪の功(出典:蒙求)』を思い出しました。
出典の「蒙求(もうぎゅう)」と言えば、唐の時代に編集された教科書です。
昔の人の有名な故事説話を収めていると言う書物です。

最初先生のお話を聞いた時、学生時代に触れたこの言葉と「あれ?元は同じお話かな?」と思いました。
先生に詳細の確認を取っていないものの、故事成語に出てくる登場人物が『三字経』と同一の名前の人物なのです。だから、同じお話なのではないかと思いました。
『蒙求』が書かれた頃は“唐の時代“、 その後に書かれた『三字経』の頃(今から800年ぐらい前)は ”宋の時代“でした。
おそらく『三字経』に書かれている方の一文は、『蛍雪の功』を短く三字一句にしたものなのでしょう・・・。

三字経の「如攘蛍,如映雪・・・」の一節ですが、卒業式で歌われる「ほたるの光」の歌詞の元となったものではないかと、先生はお話してくださいました。
「蛍雪の功」の故事も、卒業式で歌われる「ほたるの光」の歌詞の元になったと言う話を過去に聞いたことがあるので、どちらも同じ内容のストーリーのようです。

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(内容が重複しますが、「蒙求(もうぎゅう)」に記載してある方のお話の概要意味を以下に記載します)
このお話には、晋の国の車胤(しゃいん)と孫康(そんこう)と言う人物が登場します。

孫康(そんこう)の家は貧しくて、明かりに使う油を買うことが出来ませんでした。
彼は、幼少の頃より心が清くまじめで友達付き合いも相手を選んでいたとあり、のちに御史大夫にまで進んだとあります。
※(御史大夫)役人を監督する役所の長官。

もう一人、車胤(しゃいん)は南平県の出身であり、慎み勤め学業にはげんで、広く読書をした人物とありました。そして彼の家も、貧しくて明かりを灯す油を手に入れられなかったそうです。そんな彼は、夏の間、絹で織った袋にほたるを入れて夜通し勉強して過ごしました。その後、車胤は役所に入り出世したそうです。

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現代においても、家計が苦しい状況の中、学業を修めている多くの若者がいます。
中には、生活がギリギリで節約の毎日であったり、学費をお子さん自らがアルバイト等で賄う状況がまだまだ見受けられます。
そういった方々の中には、学業に専念できずに断念せざるを得ない若者も少なくありません。こういった状況は大変痛み入ります。このお話に出てくる二人は、環境にハンデがあってもそれに屈することなく学業を成し遂げ立派な役人になったという、努力が報われる話です。現代の苦労人も、昔の人に負けず立派な人になって欲しいです。

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●二宮尊徳(金次郎)のお話に似ている!?
さて、先ほどの続きで残りの六字で一大句、2節分です。
朱買臣(しゅばいしん)と李密(りみつ)と言う二人の人物が登場します。

以下、授業で習った三字経の原文と意味をあげておきます。
それにしても、本文中の「薪を背負いながら読書し、・・・」と言う一文は、
あの二宮金次郎の薪を背負って読書する話に酷似しています。
よく似たお話ですね。


(三字経の原文)
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如負薪 如挂角 身雖労 猶苦卓
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もしくはたきぎをおい

もしくはつのにかく

みはろうすといえども

なおたかきをつとむ

(意味)
西漢の朱買臣(しゅばいしん)は、薪を背負いながら読書し、
随の李密(りみつ)は牛に乗り、その角に書物をくくりつけ読書。
彼ら苦労しながら、衆から抜きん出ることに務めた。


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上記の『三字経』の授業の内容ついては、私の先生の許可を得て記載しております。

※今回、先生がご自身で作成・使用しましたテキストは、大修館書店ホームページ『漢字文化資料館』より転載し、加藤敏先生の訓読に習うものです。


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