「当たり前だと
思っていることが
実はどんなに
ありがたく
うれしいことか」
朝、目が覚める。トイレに行く。朝ご飯を食べる。テレビをつける。仕事に出掛ける。電車に乗る…。ある日、一切がひとりで出来なくなりました。
両足と右手首骨折で、薄暗いICUに横たわっているだけ。左手しか動かせませんでした。怪我の激痛が辛くて、死にたくても、それすらできません。
相棒の怪我は更に酷く。別の病院に収容されたので、顔を見ることも出来なくなりました。
現状のありがたみを見ようとせず、不満と怒りのあんぽんたんの目から鱗を落とすには、これ位の荒療治しかなかったのでしょう(笑)。
症状固定まで8回(人工股関節置換手術入れて)の入院と11回の手術を受け持って下さった主治医に恵まれ、優れたリハビリのPT、OTによりここまで回復しました。
一番嬉しかったのは、最初の入院で、車椅子から初めて立って歩いた時(歩行器でした)。長らく車椅子でしたので「立って歩くとは、こんなに視点が高いのだ」と感動しました。
治療の途中で歩く姿も痛みも酷くなったこともありましたが、ガンガン外出していましたっけ。ステッキが取れるのか不安になりましたが「もうこれまでだ」とは、感じませんでした。
現状がしんどい人でも、何かしらありがたい事があるんだと思います。そちらを見て歩いて行けば、新たなものが見つかると思います。私のように。
奥村久雄著「サキナ日めくりカレンダー」より


