年末に親しい人が亡くなった。2月に食事をしたのが最後になった。そのときに「僕は79歳を過ぎて先がわからないから形見を残したい」と言ってだしてきたのが彼がフランス留学と滞在中に長年使ってきたA6版の革の手帳カバーだった。大事に使ってきたものだからなんともいえないつやと輝きがある。ヨーロッパ人のものを大切にする気持ちが彼の中にも根付いている。


愛用してきた大切なものをいただける価値が私にあるかどうかわからなかったが、とてもうれしかった。贈り物とは新しいものを買うばかりではないと初めて知った。心に響くほんとうの贈り物。


今やそのときに彼が語っていた励ましや勇気をもって生きていくことが彼への恩返しとなるだろう。



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