田中邦衛氏が長い闘病の末、亡くなった。88歳である。
映画人は
その風貌とアクの強さから、ヤクザにぴったりと言う事で東映での「網走番外地シリーズ」を代表作と言う人が多い。そうでない人は東宝の「若大将シリーズ」での敵役「青大将」を推す。
テレビ人は
言わずと知れた倉本聰・作「北の国から」を代表作だと言う。
代表作は・・・と言われるだけでも役者冥利に尽きる事であろう。
私は個人的に田中邦衛と言えば「若者たち」を強烈に思い出す。
10代後半の敏感な時に親の世代も学校の先生も口裏を合わす様に曖昧で、誰もはっきりと答えてくれない世の中への疑問がそのままドラマになっていた様な「若者たち」を見ながら、やはり疑問は解けずに悶々としていたのを思い出す。
のちにこのドラマの発案者の白川文造氏や監督の森川時久氏と話す機会がありこのドラマに込めた思いを聞く事が出来たが、長くなりそうなので次の機会に廻す。
代わりに主題曲を書いた藤田敏夫さんの話を紹介すると、打ち合わせの日までに完成せず、スタジオに向かうタクシーの中で15分で完成させたそうである。
田中邦衛はじめ出演者が主題曲を歌う予定だった事は誰も知らない。