ニューヨークを救った「I♥NY」
ハーブルバーリンに憧れた学生時代が過ぎ、広島でデザインを教えている頃にもう一人の憧れの人ミルトングレイサーの活躍が伝わって来た。
今では信じられないかもしれないが、70年代半ばまでニューヨークは治安の悪さで有名だった。「夜道は歩くな」「殺されても自分の責任」などと言われ、

空港では「恐怖都市へようこそ〜ニューヨークサバイバルガイド」なるパンフレットが配られ、まるでソドムのようであった。  
財政難の打開と治安の健全化を計る為、観光都市を目指し
「アイラブニューヨーク」というスローガンが誕生し
スティーブカルメンのテーマソングが生まれた。 
そしてビジュアルを担当したミルトングレイサーが考案したのが
「I ❤️NY」
会議に向かうタクシーの中で書いた走り書きがデザインの世界の流れを変え、町中にロゴが溢れニューヨーカーの意識をポジティブに変化させた。
Tシャツからマグカップまであらゆるものに使われたロゴマークの商標権は無償でニューヨーク州に贈られたそうである。
当時のCMには同じく無償でビッグネームが登場している。

因みに日本では日航ニューヨーク便就航CMのBGMとして当時人気のカシオペアが「I ❤️NY」を演奏している。個人的にはこのアレンジの方が好みである。