東日本大震災9周年 | アンジュのブログ

東日本大震災9周年

今日は東日本大震災9周年です。
直後に訪れた東北石巻はこの世のものと思えない光景で、言葉も出ないほどでした。
避難所に案内された私は何がこの中でできるか、冷静な自分を何とか取り戻し、救助に当たっている方々と相談しました。
そうだ私はヴァイオリニストだ。
「よかったら何か弾いてください」と言われ、静かに静かに思いつく曲を弾きました。バッハ、モーツァルト、童謡、民謡・・・皆うなだれて座っていましたが小さなお孫さんを抱いたおばあさんがこちらを見てお辞儀をしてくれました。
この子の親は行方不明、と後から語ってくれました。
それから何度この地を訪れたでしょう。
小学校、中学も行きました。校長先生が「この子たち笑わないよ、一緒に歌おうと言っても無理だから」とおっしゃるので自然に曲を弾き、生徒さんたちに私の小さいころ使っていた分数ヴァイオリンを見せた時です。「ひいてみたい?」と言ったら手をあげる子が何人も! けっきょく列を作って順番待ちに!
ドドソソララソ  と手を離さない子もいました。
うなだれて聞き始めた子供たちは新しい音の世界に入って行ったのです。
言葉の少ない慰問でした。最後に一緒に歌おうか?と恐る恐る言ったら「うん!」ということで何曲か歌い、最後に校歌でしめました。
後ろでにこにこと笑っていらした校長先生は校長室に戻ったとたんに号泣 「奇跡だ、うちの子らが歌った」
音楽の力を改めて感じました。
ここに貼ってあるのは東北の犠牲者を慰めるため、そしてこれからを生きる人々への励ましとして作られた「東北レクイエム」 作曲者はなんとドイツライプツィヒでバッハの後継者:ニコライカントルとして活躍するユルゲン・ヴォルフさん。
最初に入っているコーラスは犠牲者の多かった中学の生徒さんの歌声です。天台声明から始まってキリスト教形式へと移って行きます。
京都の比叡山で演奏した動画です。仏教のお坊様、キリスト教の牧師様、そして作曲者ユルゲンヴォルフさんも同席しています。
今日改めてご冥福をお祈りいたします。


比叡山延暦寺金本中堂にて