■傾城反魂香(いけいせいはんごんこう)土佐将監閑居の場
・浮世又平(うきよまたへい)後に
土佐又平光起(とさのまたへいみつおき)…中村橋吾(成駒屋)
・又平女房おとく…澤村國久(紀伊国屋)
・狩野雅楽之助(かのううたのすけ)…中村橋弥(成駒屋)
・百姓…坂東彌風(大和屋)
同…片岡千次郎(松美屋)
同…中村扇之助(成駒屋)
同…坂東彌七(大和屋)
同…澤村國矢(紀伊国屋)
同…中村いてう(中村屋)
同…梶浦昭生
・土佐修理之助(とさのしゅりのすけ)…中村獅一(萬屋)
・将監北の方(しょうげんきたのかた)…片岡當史弥(松嶋屋)
・土佐将監光信(とさのしょうげんみつのぶ)…山崎咲十郎(山崎屋)
●名題下さんたちの舞台は、6、7年前の保存会公演以来かな(松嶋屋のお弟子さんたちがやったすし屋は確実に覚えています。その次の澤瀉屋のお弟子さんたちのはうろ覚え…観たような気もする)。せっかくなので、一人ひとり(あ、百姓以外ね)感想を。
まず、橋吾さんの又平。くじ引きとはいえ、なるべくしてなった主役、という感じ。立派なもんでした~。勘太郎くんに教えてもらったんだなってことがよくわかる又平で、とにかく丁寧にきちんと演じていたし、表情も豊かだし、あー、又平ってこういう感じの人なんだろうなーと自然に感情移入した。そのあたりも以前に勘太郎くん演じる又平に通じるものがあり、かなり好き。ってか、好きかどうかを論じたりとか、感情移入した=又平として見ていたってことだから、それだけ完成度が高かったってことだよね。やるな~橋吾さん。技より気持ちが大事な役だろうしね、又平は。姫君救出の役目を願い出る長台詞のところなんかは泣きそうになったくらいだし。ま、細かいところを言えば、三味線の音に合わせて賜った印可の筆を手ぬぐいに巻くところ、普通は3段階くらいで巻くところが1回で巻けちゃったのは残念だったね。残念だったのはそこくらいで、全体的にはホントよかったと思う。
次に、國久さんのおとく。役云々の前に、2階席から飛んだヤジに耐えて、よくがんばった!感動した!(古っ)いやービビりましたよ。観客の私でさえ心臓縮んだもん。國久さんの心境たるや…(ノДT) さておき。ちょっとおっとりしたおとくさんだったかなー、という印象。まーよくしゃべる女だねーと見物が思うころに「あらやだ」となってくれないと。おしゃべり?全然気にならなかったっすよー、ってくらいでした。七之助くんに教わったのであれば、なんだかうなずける気がするけどね(七之助くんのイメージだと、おとくも頼りなげでおっとりした感じだろうな、ということが想像できるので)。そして画像が抜けた手水鉢を見て驚くところ、今までのイメージだとちょっとコミカルだったりして今までの悲壮感を打ち破らんとするあざとさを感じてあまり好きではない場面なのだけど(いや、それでイイ場面なんだろうけどさ)、コミカルでもないし、あざとさもない、それでも、驚いていることは伝わってきたし、空気もちゃんと変わっていた。すっごく好感が持てました。健気で甲斐甲斐しい、かわゆらしいおとくさんでした。
橋弥さんの雅楽之助。いやー、難しい役ですよ、これ。今まで大歌舞伎などで観た雅楽之助でも、イイ(・∀・)と思える雅楽之助って1人…せいぜい2人くらい(誰とはあえて書きませんが)なもんだし。義太夫のノリ地は難しいんだなーと思います。台詞も動きも。舞台にいる間中全てが見せ場、みたいなもんだしね。体格が立派なので、見た目的にはとってもかっこよかったんだけどね~。がんばっていた、とは思います。(←上から目線だ・笑)
獅一さんの修理之助。…可もなく不可もなく、という感じでしょうか。雅楽之助とは逆に、見せ場らしき見せ場がないから、演じる役者のファンでないとあまり目をやらない役なのかもな。うん、やっぱり可もなく不可もなく、です。
當史弥さんの将監北の方。こちらも見せ場のある役ではないですよね。邪魔をしちゃいけないけど、武家の正室という品格を出さないといけない…案外難しい役なのではないかしら。けど、當史弥さんの北の方は、上品だったし、又平夫婦のことを気にかけてくれる優しさも感じられたので良かったと思う。結構好きでした。
そして、咲十郎さんの土佐将監。高齢&武家の格を一生懸命出そうとしてたな、というのが第一印象。若い人が老け役をやるのは大変だよね。特に咲十郎さんは普段立回りできびきび動いている方なので、その苦労をすっごく感じてしまった。話がすすんでいくにつれ、だんだんとそれらしく見えてきた気もしましたけどね。ただ、姫君救出に向かう修理之助に再度取りすがろうとする又平を止めるときは、予想外に動きが速くて、ちょっとウケました(笑)。ま、老いても武人ってことで。御愛嬌ですね。
百姓以外、と言いましたが…百姓リーダーを勤めた彌風さん。思いの外台詞が上手でビックリしました。今までは台詞を聞いたことは皆無だったので、意外な伏兵(笑)に驚き、そしてとっても頼もしく感じました。
■双面水照月(ふたおもてみずにてるつき)
・法界坊の霊(ほうかいぼうのれい)
野分姫の霊(のわけひめのれい)…中村扇一朗(成駒屋)
・手代要助(てだいようすけ)実は
吉田松若丸(よしだまつわかまる)…中村橋幸(成駒屋)
・娘おくみ…中村仲之助(中村屋)
・渡し守おしづ…中村仲四郎(中村屋)
●橋幸さん@要助と仲之助さん@おくみ、すらっとした美男美女で思わず見惚れました~。橋幸さんの要助は、品が良くって、ただの手代ではなく“実は松若”って感じがちゃんと出てました。けど…台詞がもうちょっと、ですかね。仲之助さんのおくみは、昨年の中村座で見た扇雀さんを思い出す感じで。教わったことをきちんと舞台で出せてたってことだね。と同時に、なんか澤瀉屋の春猿さんも思い出してしまったのはナゼ? なんか持ってる雰囲気が似ている気がする。は!∑(゚Д゚)橋幸さんが段治郎さんぽかったからかもー★ 仲之助さんは、背が高いので、並びの腰元やなんかだと目立ってしまうけど、同じく背の高い橋幸さんと一緒だったので、とっても可愛いおくみちゃんでした。
仲四郎さん@おしづ。仲四郎さんって、今まであまり意識していなかった役者さん。筋書などで顔写真はみたことはあるので、その印象では勝手に立役のイメージを持っていたけど、女形だったのねΣ(・ω・ノ)ノ! 舞台の印象はあまり残っていないのが正直なとこで、更に、渡し守という役自体、もともとあまり認識がないという…なので、感想らしい感想がありません(゚ー゚;
さて、扇一朗さん。…うーん、がんばってたよ、本当~に大奮闘だったし、思いっきり出来てたんだとは思うんですが…。思うに、踊りの技量でどうこういうシロモノではいですよね、コレは。やっぱり、こういう歌舞伎舞踊っていうモノは、スター役者がやって何ぼ、ってことなのでしょう。正直、“どろどろどろ~”ってなってもワクワクできなかったし…。でも、やっぱり奮闘ぶりには大いに拍手です!
★おたのしみ座談会
勘三郎さんが、吃又のときに飛んだヤジについてコメント。「リアル長兵衛が登場したみたいでね」と。リアル長兵衛? 正義感の強いご見物の誰かが、ヤジオヤジにかけあってつまみ出したのか~と、“リアル”のリアル度を甘く見ていたけど、正真正銘の“リアル”長兵衛…そう、橋之助さん(開幕直前に2階の上手側後方に座っていました)が飛んでいったんですって! 正義感&師弟愛(家系は違うものの)…橋之助さん、グッジョブです(°∀°)b 私は1階下手側の竹席だったので、その様子は見えなかったけど、その現場見たかった~( ´艸`) 目撃した人がちょっぴりうらやましいです★
そして、最後の質問コーナーでの出来事。一人目の質問者さんが質問をしようとした瞬間、花道の七三にゴキブリが! それを見つけた勘太郎くん、すかさず花道に駆け出し、ゴキブリの捕獲を試みる! しかも素手でつかもうとしてる! 結局は取り逃がしたものの、その瞬発力と果敢さに男気を感じてしまいました。頼もしい、イイ旦那さんになるね♪