傾城反魂香(けいせいはんごんこう)将監閑居の場
・浮世又平(うきよまたへい)…坂東三津五郎(大和屋)
・又平女房おとく…中村時蔵(萬屋)
・狩野雅楽之助(かりのうたのすけ)…尾上松緑(音羽屋)
・土佐修理之助(とさしゅりのすけ)…中村梅枝(萬屋)
・将監北の方(しょうげんきたのかた)…坂東秀調(大和屋)
・土佐将監(とさしょうげん)…坂東彦三郎(音羽屋)
●幹部役者よりも何よりも、梅枝がよかった~!昨年くらいから大人の役で立つようになったようだけど、声もきれいだし、古風な味もあり、セリフの言い回しもしっかりしてる。誰かよりずっと上手いよ(誰とは言わないけどさ)。又平に役目を代わってくれと言われるところも、今まで見た修理之助は、困った兄弟子を疎んじているような感じだったけど、梅枝の修理之助は、師匠と兄弟子の間に挟まれ、心底困っており、必死な兄弟子に対しては哀れみさえ感じているようだった。優しい修理之助だったよ。

上、保名(やすな) 下、藤娘(ふじむすめ)
・保名(やすな)…尾上菊之助(音羽屋)
・藤の精(ふじのせい)…市川海老蔵(成田屋)
●初め、この演目&配役を見たとき「誤植?逆じゃなくて?」と思った(のは私だけではないはず)。実際見てみて感じたのは、それぞれに課題をもって臨んだんだろうなーというところ。
まず、保名。うーん。菊之助、綺麗だけど、男の色気じゃなくて女なんだよなー。女形が多いから仕方ないのかもしれないけど、柔らかい“男”のはずが“男”じゃない。児雷也みたいな男らしい男であればやりきっちゃえばいい話だから問題ないけど、難しいんだね、柔らかい男って。
そして、藤娘。…正直、怖いもの見たさ、と言う感じで観劇に臨んだのだけど…案外イイ!(大きかったけど…笑)。表情の作り方もかなり丁寧で好感が持てた…というか、かなり好きかも。お酌をするふりをする振りで、きょろりと相手に目線をやるのなんか、可愛いとしか言いようがない。そしてとろんとした表情は色っぽいし。よく作り込んでいたと思う。
私が勝手に思った二人の課題。菊之助は、“男の色気”を出せるようにということ…これはもうちょっとかな。海老蔵は“役を演じる”ということ。海老蔵って、本来持っている自分キャラを役と同調させている感じで、本能でやっているように感じていたけど、今回の藤娘は一から十まで全部作らなくてはならなかったんじゃないかなー、というところ。いろいろ計算した上での“演技”だったように思えた。

黒手組曲輪達引(くろてぐみくるわのたてひき)
・番頭権九郎(ばんとうごんくろう)
 花川戸助六(はなかわとすけろく)…尾上菊五郎(音羽屋)
・紀伊国屋文左衛門(きのくにやぶんざえもん)…中村梅玉(高砂屋)
・鳥居新左衛門(とりいしんざえもん)…市川左團次(高島屋)
・新造白玉(しんぞうしらたま)…尾上菊之助
・牛若伝次(うしわかでんじ)…市川海老蔵
・遣手お辰 (やりておたつ)…澤村鐵之助(紀伊国屋)
・朝顔仙平(あさがおせんぺい)…片岡亀蔵(松嶋屋)
・俳諧師東栄(はいかいしとうえい)…大谷友右衛門(明石屋)
・三浦屋女房お仲(みうらやにょうぼうおなか)…澤村田之助(紀伊国屋)
・三浦屋揚巻(みうらやあげまき)…中村雀右衛門(京屋)
●初見。「助六」やら「揚巻」やらの役名があったので、どんなものなのかなぁ、と。なるほど、成田屋のお家芸に対抗して、という趣向なのね。…それにしてもねぇ、矢ガモは古くないですかい?そしてあの音楽、『2001年宇宙への旅』だっけ?わかんないんですが、それを使ってる意味が。矢ガモに飲み込まれたって…歌舞伎ってかなりナンセンスなとこあるけど、それはちょっと逸脱してませんかい?音羽屋の作る芝居はけっこう好きなんだけど、こういうのはいつも寒くていかん。まぁ、大半のお客さんがそれで喜ぶみたいだから、「はいはい…」って観てるしかないけどさ。最後の立回り、もっともっと来るかと思ったけど、「あれれ?これで終わり?」って感じだったし。私としては、なーんか消化不良な感じでした。

今日のディナー:亀戸割烹升本 の『藤むすめ』(演目にちなんで。盛り沢山でおなかいっぱい。いつもなら食後におみやげを見られるくらいのペースで食べきる私が30分の幕間をまるまる食事に使い切ってしまうほどでしたよ…)