STUDIO-RELIEVE #012「街のヒーロー達」

緑のおばさんは、あんたも知ってるよな。
雨が降ろうが、雪が舞おうが、猛暑日だろうが関係なく、朝夕横断歩道や交差点に立ち、子供たちの安全を守る、スーパーヒーローみたいな仕事だ。
正式には学童擁護員というらしい。
俺はガキの頃、緑のおばさんに見向きもしなかった。毎日見掛けていたはずなのに、存在さえ忘れてしまうくらい。
まぁ子供は友達と遊ぶ事に手一杯で、通学の途中で見掛ける大人なんて、完全に無関心。
落ちてるセミの抜け殻や、アイスバーの当たり棒や、新作ゲームの意外と手ごわくセクシーな中ボスのことなんかで大忙しなのだ。
だけど、考えてみたらすごいよな。
宮沢賢治のように日本の異常な気象に負けず、どんな天気でも朝の七時から街に立つのだ。
俺たちの世界には思ってもみないところで、超人的な活躍をしている人間があちこちにいるというわけ。
ヒーローは子供だましのアメコミ映画の中にだけいるんじゃない。
そういう意味では、俺やあんただって立派にヒーローの資格はあるのかも知れない。ただの動物のくせに毎日働いているなんて、ニンゲンってほんとにえらいものだ。
その気になれば、俺は仕事をサボって街をぶらつくことも出来るし、街のトラブルに鼻を突っ込むことも出来る。
(ねずみ講とストーカーの撃退はもうたくさんだけどな)
これを読んでるやつは、絶対に通学路で制限速度の四十キロオーバーで走らないでくれよ。
飲酒運転など、もっての外だ。
特にこの街でそいつをやれば、
“俺たち”が黙ってないからな。