今回は小柄な方や女性が650Bを乗りこなす為に知っておくべきこと パート①に続き、パート②です。
ビンディングペダルのクリートスペーサーを利用してワンサイズ長いクランクを活用する事例の紹介です。
・650Bのクランク長とそもそもクランク長についての話
・小柄な方や女性や650Bのロードバクに乗る方のクランク長の問題
・より長いクランクを使うための二つの方法
・ペダルスタックハイトが高くなると、どんな影響があるか?ペダリングはどうなる?
・応用編
650Bのバイクに乗られる方は、私もそうですがおおよそ低身長だと思います。適正サドル高が取れないことや適正リーチを取れないことからホイールサイズに650Bを採用して小さくてもバランスの取れたフレームを選択されている事でしょう。
165mmのクランクを使用していた私がトルクUPのため170mmのクランクを現在のSPEED PLAYのまま、サドル高さ変えずに使用している方法をお伝えしていきます。
※今回は上死点を上始点と表現します。
650Bのクランク長とそもそもクランク長についての話
身長164センチの私が所有しているCanyon Infliteを例に考えると2XSサイズから650Bが採用されています、今回はクランク長に関する記事ということで、2XSサイズのクランク長は165mmがアッセンブルされています。
一般的に適正なクランク長は身長の1/10と言われており、そのことには懐疑的ではあります、懐疑的というのはクランク長は身長によって長さが決まるのではなく膝下長と股関節、足首の柔軟性によって決まると考えています。
膝下の長さ+クランク長の分だけ膝上が股関節を軸に上下運動を行う為です、そしてペダリングの際に上始点をスムーズに通過できるかがスムーズなペダリング、つまり適正なクランク長であるかの判断基準になると考えています。
つまり、クランク長の決定には股関節、足首の柔軟性が大きく関わっているということです。
ツールドフランスでも有名なクライマーのキンタナ選手は身長167cmですが172.5mmのクランクを使用して勝ちまくっています。
最近の風潮ではより短いクランクを使用してペダリングしやすくする方が良いとの意見もありますが、自分の身体特徴やケイデンス向きなのかトルク向きなのか、またライディングスタイルによって選択することが良いと思います。
私の場合、トライアスロンでのバイクパートで40kmをほぼ一定速度で走行します、体重を乗せながらトルク重視のペダリングが求められるため165mmから170mmのクランクに挑戦しています。
・ペダリングでの膝上は上下運動のみ
・膝はクランク長+膝下長さ分だけ上下する
・股関節と足首の柔軟性が上視点を通過する際に重要
小柄な方や女性や650Bのロードバクに乗る方のクランク長の問題
別の記事で650Bのロードバイクはタイヤ周長の関係からチェーンリングを大きくしないと700Cと同等にならないという解説をしていますが、その際はクランク長には触れていませんでした。
今回はそこに切り込んでいきます、650Bの場合165mm以下のクランク長がほとんどですが、170mmのクランクを採用すれば容易にトルクアップができるでしょう。
以下にクランク長やペダルについての特徴や影響について考えてみました。
■短いクランクは回しやすいが比較してトルクが下がる
クランク長によるトルクの差を埋めるにはペダル回転数を上げるしかありません、クランク長が短ければペダルは回しやすくなりますが、650Bで50-34から52-39など大きめのチェーンリングに交換した場合は、トルクが欲しくなりますのでクランクを長くすることは効果が高いと言えます。
■クランク長はテコの原理が働きトルクUPに繋がる
クランク長が長くなるとテコの原理でトルクUPできます、具体的にはより少ない力でペダルを回す事ができるということです。
それなら長いクランクを使おうと考えますが、先に述べたスムーズな上始点の通過ができなければ長いクランクを採用しても使いこなす事はできないでしょう。
■膝下からペダルシャフトまでの長さを分解する(スタックハイト)
・身体的な膝下から足裏までの長さ(高さ)
・スタックハイト(シューズ+クリート底面までの高さ)+(ペダル踏面からペダル軸までの高さ)
となります。
※資料がありませんのでシューズの内底からシューズ底面までの高さは考慮しません。
■シューズとペダル選択でシート高さが変わってしまう
メーカー各社から販売されているペダルは専用のクリートが必須となっており、メーカー各社によってスタックハイト(ペダル軸からシューズ底面までの高さ)が違っています。つまりどのメーカーのペダルを使用するかによって膝下からペダルシャフトまでの長さが変わってしまうという事です。
そして当然ながらサドル高さも変わってしまうという事です。
■各メーカーのペダル スタックハイト
いくつかのペダルメーカーについてスタックハイトを紹介します。各社ともスタックハイトはまちまちで、LOOK KEO2とSPEED PLAYでは5.8mmの高さの違いがあります。
これだけ違うとサドル高さも変わってきますね。
シマノ デュラエース 14.6mm(アルテグラ14.6mm、105 16.5mm)
LOOK KEO2 17.3mm(KEO 14.8mm)
SPEEDPLAY 11.5mm(8.4mm 4穴シューズ)
GARMIN Rally 12.2mm(RS,RK共)
より長いクランクを使うための二つの方法
現在、165mmのクランクを使用している方が170mmのクランクを使用する方法は2つ考えられます。
1つはスタックハイトの高いペダルに交換すること、もう1つはクリートスペーサーを使用してスタックハイトを高くする方法です、ペダル交換とスペーサーの兼用もできます。
各ペダルメーカのオプションとしてシューズとクリートの間に挟んで使用するスペーサーが準備されていたり、社外品として販売されていたりします。
・スタックハイトの高いペダルに交換する
・オプションまたは社外品のクリートスペーサーを使う
・スタックハイトの高いペダルとクリートスペーサーを兼用する
3mm+3mmスペーサー(1/8インチx2)
ペダルスタックハイトが高くなると、どんな影響があるか?ペダリングはどうなる?
例えば、クランク軸からのサドル高さが650mmだったとします。これまでシマノのペダルを使っていた方がクランクは165mmのままで、スタックハイトの高いLOOK KEO2を採用するとスタックハイトが2.7mm高くなります、つまり股下寸法が2.7mm長くなるということです(下駄を履いたイメージです)したがってサドル高さも2.7mm高くなり約652mmになります。
ここでクランクを170mmの交換すると今度は5mm-2.7mmで2.3mmサドルが下がり、サドル高は648mmになります。
また、上始点が2.3mm高くなり窮屈になるので股関節や足首の柔軟性が必要とされます。
この事からクランク長を165mmから170mmに変えても実質2.3mm長くなるだけです。
さらにクリートに2mmのスペーサーを挟むことで4.7mmのスタックハイトとなり膝下からクランクシャフトまでの長さが4.7mm伸びるのでサドル高さを変えずに、これまでより5mm長いクランクが使えるという事になります。
もう一つ、クランク長が長くなる、膝下が長くなるとペダリングはスムーズに回しやすくなります。
膝下長が伸びることでペダルの3時と9時の位置では膝の位置が高くなります(もちろんペダル位置は遠くなります)、膝の位置が高いということはペダルが3時と9時の位置にある際の膝との角度が僅かですが90度寄りになります、この事から膝や足首への負担が減りペダリングがスムーズに回しやすくなるという事です。
・サドル高さが上げられる
・ペダリングがスムーズに回しやすくなる
※スペーサーは脚の左右差を解消する目的で販売されているものです。
SPEED PLAYの愛好家の方にはスタックハイトが低い事によるダイレクト感を好む方もいらっしゃるかも知れませんが、私もSPEEDPLAYを愛用しており、SPEED PLAYは比較してスタックハイトが低いためスペーサーを導入しました。SPEED PLAYはクリートでペダルを挟むような構造でシューズとペダルを一体化させてダイレクト感を生み出しているので6mmスペーサーでクリートスタックハイトを高くしてもダイレクト感にそれほど変化は感じませんでした。
これによって私の股下寸法は740mmから746mmになりました。
通常のサドル高さの計算式に当てはめると
740mm x 0.88 = 651.2mm
746mm x 0.88 = 656.48mm
656.48mm - 651.2 = 5.28mm
サドル高さが5mm上がり、クランク長は165mmから170mmを違和感なく使用できています。
ちなみにSPEED PLAY用のスペーサーは1mm~10mmのものが販売されています。
また、バイクサイズを選ぶ際にはサドル高さが650mm〜のサイズを選択できるようになります。
Canyon aeroadであれば2XSだったのがXSサイズがギリ乗れる感じになるでしょう。
これまで述べたように、650Bのロードバイクに乗っていて、股関節や足首の柔軟性を高めるとの条件付きですが、ワンサイズ大きなクランクを使用してトルクアップを目指すことができますので、関心のある方は、ご自身のライドスタイルに合わせて是非お試しください。
応用編
小柄な方で適正サドル高さが取れないロードバイクを選択せざるを得ない場合などには応用できると思います。
サドル高さはペダル下死点からサドルまでの高さが影響しますので、どうしても700Cのロードバイクを選びたいが訂正サドル高さに自分のサドル高さにどどかない場合は10mmくらいまでは対応できると思います。
それでもサドル高さがとどかない場合は超裏技ですが、レールと座面の高さが低いサドルを使用するという手もあります。
・サドル高さを上げたい場合(ケイデンス重視のペダリング)
スタックハイトの高いペダル+短いクランクまたはクリートスペーサーを使用
・サドル高さを下げたい場合(トルク重視のペダリング)
スタックハイトの低いペダル+長めのクランク
ちょっと邪道な裏技的なお話でした。
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