Canyon Speedmax Discも2020年12月末の納車から半年が経過し1,000kmくらい乗りました、幸いにも2021年7月18日にジャパンショートトライアスロン赤穂大会が開催されましたので、インプレと感想を共有したいと思います。

 

本記事ではバイクパートでのCanyon Speedmax Disc 2021についてトライアスロン参加をベースに紹介していきます。

次月にも同じコースでトライアスロンが開催されますので、次回もインプレを予定しています。

※記事の後半にCanyon Speedmax Disc 2021モデルの特徴を紹介しています。

ジャパンショートトライアスロン赤穂大会のバイクパートは5kmのコースを8周回となっており、Uターンまたはそれに近いコーナーが全部で30回くらいあります。

つまり減速からフル加速する機会が約30回あるということです。トライアスロンの大会としてはUターンやコーナーが多い大会になります。

バイク選択としてはロードバイクでもTTバイクでもといった感じがしますが、昨年2回出場した経験上このコースは風が強い時があります。若干の上りはありますがほぼ平坦ですのでエアロ効果を最大限に考慮したバイク選択となるとTTバイクが有利だと考えCanyon Speedmax Disc 2021で出場しました。

私はエアロロードバイクを所有していませんので、持っていたらエアロロードバイクで出場したかもしれません、それくらい速度の出し入れが必要なコースでした。

 

ロードかTTバイクか、バイク選択について考慮したこと

・U字を含むコーナーが多いコースか→多い

・アップダウンが多いコースか→殆ど平坦

・強風などの風の影響が大きいコースか→海風が強い区間がある

・ドラフティング走行の可否→禁止

など、コース状況に応じて考えた結果、TTバイクのCanyon Speedmax Discを選択しました。

 

バイクのセッティングについて

・チェーンリングとスプロケットはフロント52-36、リア12-25の巡航重視

 フロント50-34の方が加速には良いと思いましたが交換せず

・ブラダーには給水用のポカリを600mlと少なめに

・ベントボックスにはアミノショットx2、塩タブレットx4

・エアロボトルは2本で空のボトルx1、解凍中の水x1

・コックピット周りはエアロ重視ですが空気が胸元に入らないようにし、低い位置にアームパッドはセットせず、

 体重を乗せるペダリングと体幹疲労軽減を重視(トレーニング時はアームパット位置は低くしています)

・工具用ボックスの中身は全部出して別途保管し軽量化(ショートでは使わない想定)

・タイヤ空気圧はフロント6bar、リア6.3barと低めの空気圧

・サドルはISM 3.0を選択し、サドル高さは高すぎないように若干低めに

昨年の結果

昨年はSpecialized Tarmac SL6+DHバー+レーゼロアルミで出場し、1周5kmのコースを6周回、30kmの平均速度は31.3km/hでした。

 

今年の結果

今年は同じコースをCanyon Speedmax Discで走行し、1年で身体能力的に成長した分とバイクの性能向上も期待しながら出場。

1周5kmのコースを8周回、40kmの平均速度は32.4km/hでした。

バイクを終えた時点での総合順位は45位/138人中、エイジ40-50では11位/47人中とまずますの成績。

赤穂海浜公園の午後は風が強くなり、暑さと合わせて昨年の午前とは別次元の過酷さながら平均速度が伸びたことはバイクが速いことの証ではないかと考えています。

昨年のラップ比較では全体的に速くなっている事は判りますが、25kmを超えたあたりからのスタミナが課題であることは一目瞭然です、時間にして60分超えたあたり、後半に入って風が強くなったと感じたのはスタミナ不足からかもしれません。2:30:00以上走り切れるスタミナ強化が課題となりました。

 

 

インプレッション

エアロ効果

まずTTバイクによるところのエアロ効果は期待通りで、トータルの平均速度がTarmacと比較して1.1km/h伸びました。それほど速度差には出ていませんが、巡航速度が伸びやすいコースでは無いのでレース環境を勘案すると実感として速かったと感じています(1年間の身体能力向上は勘案せず)

 

バイクコントロールとポジション

心配していたU字コーナーでもロードバイクとの大きな差は感じず、巡航時や降りに入ると速度維持がしやすく順位を上げることができた。ランに向けての体幹疲労対策と速さの両立を考えてサドル高さ、特にサドル角度、アームパッド及びDHバーのポジションについて再考が必要、疲れず速く走行できるポジションを見つける宿題ができました。

 

振動吸収性(タイヤ)

私のようなアラフィートライアスリートの場合、ショートディスタンス40kmでもバイクのエアロ効果やタイヤを28Cによるとことの振動吸収性などバイク性能の恩恵を大きく受けられたように思います。

1年前に初めてこの会場で出場したスプリントトライアスロンではCanyon Infliteで1周5kmのコースを4周回、20kmの平均速度は28.8km/hと比較して平均速度にして3.8km/hも速くなっています。

もちろん1年間とレーニングしてきた成果も大きいと思いますが、TTバイクとの性能はハッキリと現れたのでは無いでしょうか。

 

驚愕の直進安定性

TTバイクと言えばエアロポジションが取れるということが大きなメリットと考えられていますが、Canyon Speedmax DiscはJTUのレギュレーション外のバイクであり、フロントフォークやその他の部位においても様々なエアロ対策がなされており、その中でも影響が大きいと感じたのは直進安定性の高さです。緩いコーナーでも安定していますしU字コーナーでは大きく減速しますので直進安定性がコーナーの妨げになることは殆どありません、直進安定性が高いと体幹が弱くても姿勢が安定しペダリングにも大きなプラス効果が得られます。

 

補給(ブラダーの使用感)

目玉機能のブラダーからの水分補給ですが、ボトルの場合はコーナー手前の減速時に補給していましたが、体勢を崩すことなく補給ができるので所構わず水分補給してもタイムロスを抑えることができています。

猛暑の中でのバイクパートでは補給の際に起こる減速を最小限に抑えられる事がトータルでのタイム短縮に貢献し、特にショートディスタンスの場合、その効果はさらに大きくなると言えます。

 

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650Bの効果

私の所有しているCanyon Speedmax DiscはXSサイズで27.5インチホイールがアッセンブルされています。過去に出場したバイクはどれも28インチ700Cで参加しました。Infliteの時もホイールを27.5インチから28インチに交換しています。ホイールを27.5インチにすることで28インチと比較して全高が約18mm下がりますが、バイク本体の高さも低いため全高が下がることによる空気抵抗の削減効果もあったと思われます。また、27.5インチホイールと650Bタイヤによる軽量化もコーナーの多いコースでは加速時に貢献していたと思われます。つまり650Bによるところのデメリットは感じなかったどころかタイムは伸びています。

 

巡航維持性能はどうか

巡航時の速度維持では27.5インチホイールによって28インチと比較して慣性が下がっている事により、タイヤの慣性の部分のみに焦点を当てると巡航維持性能は下がる筈だと考えています。

しかしながら客観的なデーターは無いものの「全高の低さ>タイヤの慣性」となる可能性が高いので、トータルではエアロ効果の方が慣性を上回り、結果として巡航維持性能が上がっていると考えています。

 

路面の悪さ

今回のコースはコーナーが多いだけでなく路面状況も悪くインターロッキング区間も多かったのですが、路面状況の悪さにおいては700Cが有利ではないかと思います。言うなれば細かな段差を乗り越えることの繰り返しですので、タイヤと路面の角度が緩い方が有利ではないかと考えています。このことがどれくらいの影響があったかわかりませんが、タイヤの空気圧調整で緩和できたかもしれませんし、アームパッドのポジションを高くしてランに向けて体幹の疲労を抑える対策が必要かもしれません。

 

ランに向けての疲労度

レースペースでの走行後の疲労度、つまりランの脚が残っているかについてですが、昨年のTarmac SL6はCanyon Infliteと比較して圧倒的に硬く速かったですがウィップ感というか反動によってか脚は削られ、ランに入った際に大腿四頭筋が攣りました。その結果ランの2キロくらいはゆっくりしか走れませんでした。もちろんポジションやレース経験不足やペダリングスキルも大いに影響していると思います。感覚としてTarmacSL6は加速が気持ちよく踏めるので踏んだだけグイグイと進むのですが、つい踏み過ぎた結果タイムは伸びたが脚は無くなってしまった感じです。

今年のCanyon Speedmax Discではポジションが大いに影響していると思いますが、ペダリングのバリエーションがいろいろと使えました。BB周りがガチッとしていてウィップ感はほとんど感じません、踏んだ力をそのままリアタイヤに伝達している感じで、体重を利用したペダリングや回転重視のペダリングなど身体の状態に合わせて踏んだり回したりするイメージです。巡航速度維持が楽なので細かい速度の出し入れは少なくコースの場所や距離に合わせてペダリングを変えられたおかげで過去最速タイムにも関わらずランに脚を残す事ができました。

ただしDHポジションは体幹の疲労が著しく、さらにアームパッドのポジションを高くしてランに向けて体幹の疲労を抑える対策が必要かもしれません。やはりUCIレギュレーション外のTTバイクだけのことはあるなと感じました。

 

まとめますと

Canyon Inflite CF SLは軽く速度の出し入れはしやすいが速度が伸びない、加速は速く巡航は遅い

Specialized Tamac SL6は踏込み時の反応は抜群でテンポ良く踏めるが調子に乗ると脚を削られる、加速や巡航共に速い

Canyon Speedmax Discは多くのペダリングパターンが使える、加速は可もなく不可もなく、体幹疲労はポジション次第、脚を残せる、巡航は速い、もっと乗りこなせれば速くなる

 

トライアスロンでは言うまでもなくスイムの後の種目で、バイクの後にはランがありますので単純に速いだけでは全体としてのタイム短縮にならないため、必要なパワーと速度、脚の残り具合で評価しなければいけません、このコース限定ですが、どれをとってもCanyon Speedmax Discが有利な結果になりました。

今回のようなコーナーの多いコースで脚力がありFTP値の高い方ならロードバイクの軽量エアロモデルにDHバーを選択してもTTバイクと変わらないかより速くタイム短縮できるかも知れません。

 

平均速度と平均出力

Canyon Inflite 28.8km/h(平均148W) < Tarmac SL6 31.3km/h (平均156W)< Canyon Speedmax 32.4km/h(平均153W)という結果となっています。

つまり、赤穂海浜公園のコースにおいては出力は低く速度は速くなったということです。

 

参考:2020長良川国際トライアスロン40km Tarmac SL6 33.5km/h(160w)平坦で路面はアスファルトでコーナー少ない、この結果から考えられることはバイクのエアロ性能とより低い、前方投影面積の小さいポジションが取れるバイクがより速く、より脚を使わずに走行できることが判りました。

私のような貧脚アラフィートライアスリートの場合、TTバイクを選択することは大きなメリットであると言えます。

今年は長良川国際トライアスロンへの出場も予定しているので、また比較インプレしてみたいと思います。

 

トライアスロン赤穂のバイクコース(緩急コーナーが多い)

 

 

 

【Canyon Speedmax Disc 2021の紹介】

 

Canyon Speedmax Disc 2021モデルは前モデルから大幅に進化しています。

まずはUCIの規定外フレームであること、具体的にはフロントフォーク幅が規定外となっています。

Canyonはわざわざ規定外にしたわけですが、その効果は絶大なものがありました。

外観上の特徴は

・薄くて幅広かつタイヤとのクリアランスが広いフロントフォークとシートステー

・高さのあるダウンチューブ

・面積の広いBB周り

・XS650BはBBドロップは低くありませんがタイヤ径が小さいので重心が低い

・薄くて幅広なシートポスト

・専用の調整機構付きDHバー

 

これらの特徴が具体的にどのように効果があるかについて

 

薄くて幅広かつタイヤとのクリアランスが広いフロントフォークとシートステーの効果として直進安定性が異次元と言っていいほど高いです。給水や補給の際にバランンスを崩す不安が全くないほど安定している。

 

高さのあるダウンチューブの効果は、ダウンチューブの中に給水用のブラダーを内蔵させる機構となっており、給水の際に前傾姿勢のままで給水ができるようになっている。実際に使ってみての感想は満タン(600ml〜700ml)程度の水を入れておけば思いきり吸い上げなくても給水が可能でした。ミドル以上の大会で大きな効果を挙げられると思います。

面積の広いBB周りと低いBBドロップ部分にはパンク修理用の工具やチューブが収納できるようになっており、バイクの低重心化に一役買っています。エリートのエアロボトル2本を装着すると絶大なエアロ効果が発揮されます、ダウンチューブもそうですがCanyonのアイデアはどれも一石二鳥といえます。

薄くて幅広なシートポストは見た目はゴツくて硬そうに見えますが、タイヤの空気圧を低めにすればバイクの乗り味は跳ね返りが無いのでとてもマイルド感じます。28mmのタイヤによる影響も大きいですが長距離走行で疲れるようなバイクではなく、むしろミドルやロンングなど長距離で大きな恩恵が得られる共います。

 

専用の調整機構付きDHバーは設定範囲が広く、誰でも簡単に好みの設定に変更が可能です。市販のDHバーは取り付け不可となりますが、オプションでサイコン取付用アダプターや肘置き用のアームレストキットが使えます。

アームパッド高さやDHバーの角度、グリップの角度を個別に変更できるため、自由度は高いのですがポジションによる特性について理解しなければ使いこなせないと感じています。

 

今回にインプレはこんなところです。

反省点は赤穂海浜公園は路面が安定していないので、さらに空気圧をもう少し下げても良かったと感じています。

8月の赤穂トライアスロンにも出場を予定していますので、それまでにポジションなどを再調整したいと思います。

総じてCanyon Speedmaxを乗りこなしタイム短縮に繋げていくには、まだまだ経験不足を感じました。

次回のレースに向けてトレーニングと調整を続けてさらなるタイム短縮を目指していきたいと考えています。