1年振りによこすか芸術劇場に出没しました。


小林愛実さんのピアノ・リサイタルに初参戦です。




バルコニー席の5階しか取れなかったので、ステージまでの距離が…。



遠い…。


オペラグラスを持参したのでお手元(&お足元)チェックは大丈夫でしょうが、音が…届くのか?


開演後、ステージに現れた愛実さんのドレスのお色が白だったことに気分が高揚します。

ノースリーブに肩から腰のあたりまでオーガンジーと思しき透け感のある布地がふわっと施されていてお美しいです。

上手からピアノまでの優雅な佇まい…9cmくらいありそうなピンヒールでドレスの裾を上品に捌きながら、着席して程なくすると…。


流れ出すシューベルト「4つの即興曲 D935 Op.142」の旋律に5階席まで音が届くのか問題は杞憂だったと思い知らされました。


もうね、第1曲のラストのFの和音がね…。

スーーーーっと溶けるようにたまらない余韻を残してね…。

愛実さん、ホールの構造さえも味方につけて、客席全体を包み込むような極上の響きを最上階の私まで漏れなく届けてくださっている…。


ヤバいです。

ハンドタオル忘れてバッグの中にポケットティッシュしかないのですが、この音楽の中に少しの異音も混ぜたくはないです(注※ポケットティッシュ引き抜くときのカサカサ音を立てたくない)。

ソナチネアルバム26番としてもお馴染みの第3曲の冒頭では、あまりに甘美な音色に天井見上げて涙を堪えましたよ。

5階席、ステージよりも遥かに天井の方が近かったです。


予想していた以上に涙腺を刺激されてしまったので、休憩時間はロビーに出てしっかり目に気分を整えました。

もう少しお子様がいらっしゃるのかな?と思っていた客層は、大人なクラシック愛好家で埋め尽くされています。インターバル特有のワサワサ感もほとんどなく、整然としたご様子はクラシックガチ勢の証でしょうか。


ミネラルウォーターで喉を潤して、第二部のモーツァルト「幻想曲(未完)ニ短調 K.397」に臨んで思ったこと…。


モーツァルトの時代に現代と同じように音色豊かなピアノが存在したら、もしかしたら彼はこんな風にこの曲を奏でたかったのかもしれない…。


胸が締め付けられるようなmoll(短調)の響きは、もはやロマン派です。

が、それが決して過剰ではなくて、むしろ心地好い悲壮感を伴って、聴く人の胸を否応なく撃ち抜いてくるイメージです。


圧巻だったのはシューマン「子供の情景」。

贅沢にも全曲聴かせていただきました。

なんだかもうショパンコンクールで愛実さんのプレリュード全曲を拝聴したときのような驚きをもって、一曲一曲に寄せられる想いの深さや、音色の豊かさを堪能いたしました。


特にもう、飽きるほど聴いているはずの「トロイメライ」がぁ!

中盤の転換部。情緒的に盛り上げてからのFの取り方が…。

音楽記号で記すなら、mf(メゾフォルテ)くらいまでのクレッシェンドから、pp(ピアニシモ)に転換させたってことなのでしょうが…。

そのppがね。なんともいえない優しさがあってね。

いつの間にか溜まっていた泥々した日常の澱みたいなものすべてを一音で浄化してくれるかのような響きだったんです。


いやもぉ、生きててよかった。

神様、ありがとうございます!

って、天井(上)見つめて心の中で呟いていましたよ。

この日、このとき、この瞬間に、居合わせたことを感謝したくなるような、ものすごい音色でした。


ちょっと今、手元にこれしか楽譜がないので、あとで差し替えるかもしれませんが…。

↓この音です!


注※付箋以外の書き込みはスルーしてください!


が、手持ちの楽譜(全音版)だと、クレッシェンドはむしろこの後からなんですね。

この感覚を忘れないうちにピアノが弾きたいのですが…。

うわっ! もう8時です。

リモートワークの準備をしなければなりません。


続きはまた、後日!

この感動を忘れないうちに🎼🎹♬

 

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