AHP3月公演「花の音楽会」より
G.ロッシーニ作曲:「フィレンツェの花売り娘」
(G.Rossini: La fioraia fiorentina)
ソプラノ:四津谷泰子
ピアノ:高島登美枝
AHP3月公演は「花の音楽会」と題し、
花にちなんだ歌曲やアリアを集めたコンサートでした。
今回紹介する動画は、
そのコンサートで演奏された1曲です。
「フィレンツェの花売り娘」で思い出すのは、
イタリアのパルマに住んでいた頃のこと。
イタリアでは「流しの花売り」をやっている人達がいて、
カフェやレストランのテーブルを回りながら
一輪の花(主にバラ)を売り歩いています。
狙い目はデート中のカップルや夫婦の座るテーブル、
客の方も心得たもので、
一輪買い求めると、彼女に差し出したりします。
ある日、
かなりご年配の夫婦が隣の席で食事をしていたのですが、
花売りが席にやってくると
旦那さんは黙って花を一輪買い、
奥さんの前に並べられたフォークの横に、
本当にさりげなく、そっと置かれました。
何の会話もない、静かなご夫婦でしたが、
その時の奥さんの幸せそうな顔は
今でも忘れる事ができません。
さて、この「フィレンツェの花売り娘」、
歌詞はなかなかに意味深です。
"とても綺麗な花を、買ってくださいな、
お嬢様方、恋人の方々、奥様方、
私の薔薇はとても新鮮ですわ、
そう簡単に枯れたりしません、愛のようには"
"ああ!懇願しますわ、助けてくださいな、
母がいるのです、貧しい母が、
私を待っているのです
お金ではなく
私が持ち帰るパンを待っているのです"
歌詞だけを読むと、まるでマッチ売りの少女です。
・・・が、そこはイタリア、花のフィレンツェ!
一筋縄ではいきません。
テーブルを回りながら、素早くターゲットをチェック。
相手がデート中の恋人達なら、
「恋のお手伝い」として花を売り込み、
親切そうなオジサマが相手ならば、
今度は泣き落としで財布の紐をゆるめさせる・・・
相手によってセールストークをがらりと変える、
なかなかにしたたかで、
ちゃっかり者の花売り娘だったりします。
可愛らしくも元気でしたたかな花売り娘、
この花売り娘の魅力を
ロッシーニの弾むような音楽が
見事に表現している一曲です。
