15-2 | 天空海闊(てんくうかいかつ)

15-2

「俺は、空の前座じゃねーんだよっ!」
フラッシュの嵐から逃げるように校門の裏に慌てて隠れると
そこには先客がいた。
「お前、他校生じゃねーか。勝手に中に入ってきてんじゃねーよ。」
本を読んでいた少年は顔を上げるとまっすぐに一志を見た。


天空海闊(てんくうかいかつ)-15-04

眼鏡をかけていても聡明で綺麗な顔立ちがはっきりとわかる少年に
一瞬見とれてしまった一志はハッと我に返ると

「お前中学生か?ここで何してんだよ?」
「本読んでますね。」少年はものすごく面倒臭そうに答えた。


天空海闊(てんくうかいかつ)-15-05


「テンション低きぃな。そんなの見りゃわかるっての!
何でココで読んでるのか聞いてんの!」
「姉を待ってるんですけど、そこの女の人達がうるさかったんで隠れてるんです。」
「ふーん。ねーちゃんここの学校なんか?」
「はい。」
「へー。じゃぁ仕方ねぇな。許してやるよ。」
「そりゃどうも。」と面倒臭そうに言うとまた本に視線を落とした。
「ちっ。生意気なガキだな。」
そして、一志は気付いた。
「やべぇ。ココで待ってても 俺、顔知らねーんだ。誰か連れてくっか。」
と教室へ戻ろうとしたところへ、
「あれぇ?陸?」と目の前に地味な女の子が現れた。


天空海闊(てんくうかいかつ)-15-06

「あ、ねーちゃん!」
隣にいた中学生が目を輝かせて嬉しそうに手を振った。
一志「テンション高けぇな。さっきと別人だなオイ。」


天空海闊(てんくうかいかつ)-15-07


そしてその女の子を追いかけてきている空が遠くに見えた。
「海ちゅわ~~~んっ!待ってって~~~~!
そんなに速いとおにーちゃん追いつけないぞぉ~~!」
すると陸が空に向かって冷たく言い放つ。
「一生追いつけなくていいから。」
一志「今度はテンション低きぃなオイ。

天空海闊(てんくうかいかつ)-15-08

ってもしかして空の妹の海ってあんた?」
「イイエチガイマス」海は抑揚なく答えた。
「何で棒読み?いやいやいやいや。海ちゃんだろ?」

天空海闊(てんくうかいかつ)-15-09

「オコトワリシマス」またもや棒読みで答える海
「オコトワリシマス」続けて陸も棒読みで言った。
「お前までかっ!って何を?」
「マネージャー!」
そう言うと陸の手をとり、「さっ、帰ろ。」
と空が追いつく前に走り去った。

呆然としている一志の前を
「海ちゃ~~ん!お願いだから待って~~!
あ、一志先輩!お疲れ様でっす!」
と空も走り去って行った。

「マトモニハナシモデキナカッタナ…」
一志もなぜか棒読みで呟いた。


天空海闊(てんくうかいかつ)-15-10

水谷 一志  敗北






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