作品解説、アカデミー受講生ゲネ前リハ(リハ6日目)と聴き続け、遂にムーティ自身の指揮による公演へ。

 

「アッティラ」は日本では取り上げられる事の少ない作品だが、ムーティには大変思い入れがある曲のようで、フィレンツェ、ミラノ・スカラ座、METでも振ってきたレパートリーの一つ。貴重なヴェルディ初期の作品を、更にムーティ指揮で聴けるとは感無量である。

 

ソリストも大変豪華で、アッティラ役にイルダール・アブドラザコフ、エツィオ役には、フランチェスコ・ランドルフィ、オダベッラ役に、アンナ・ピロッツィ、フォレスト役には、フランチェスコ・メーリという顔ぶれ。アカデミー生公演でも、上江隼人さん土屋優子さんを始めとした充実の日本人歌手であったため、こちらも大変聞き応えがあっただろう。

 

まず、特筆したいのは東京オペラシンガーズによる合唱。声量もさることながら、抜群の安定感、引き出しの多さには大変感銘を受けた。合唱指揮の仲田淳也さんは個人的推しの一人、ヤノフスキによる「トリスタンとイゾルデ」のコーラスで一気にファンになってしまった。

 

勿論、東京春祭オケも素晴らしいものであった。長原コンマス率いる若い奏者を中心とした特別編成のオケであったが、綻びも少なく安定した演奏、ムーティの指揮への反射の早さ、漲る推進力は素晴らしかった。アカデミー生の指揮から10日以上弾き続けてきた訳だが、奏でられたのは正にムーティの音であり、イタリア・オペラの美しさであった。

 

アブドラザコフの力強い歌唱、表れたのはアッティラの姿そのものであり、当時の人々を恐れさせたフン族の王の姿を垣間見ることができた。フランチェスコ・メーリのテノールは抜きん出ていた。長大なアリアを無理のない発声で歌いきり、会場を震撼させ、何度も聴衆を沸かせていた。

 

終演後には聴衆はスタンディングオベーション、ムーティを始めとする出演者の表情も明るく、大変素晴らしい公演であった。