(セ・リーグ、クライマックスシリーズファイナルステージ第3戦、巨人2-4阪神、阪神3勝1敗、17日、東京ドーム)男は黙って、仕事をこなした。一発なら逆転という絶体絶命の危機を救った。2点を守る八回二死一、二塁。窮地を託された呉昇桓が渾身の「石直球」で代打・セペダを左飛斬りだ。虎党の大歓声に包まれる中、「石仏」らしく、悠々とベンチに戻った。
「いつも平常心だ。ファンの応援は力になる」
頼もしいクローザーはイニングをまたいだ九回も難なく3人で締めた。井端、長野を連続三振に仕留め、最後の亀井は中堅・大和のダイビングキャッチで中飛。1シーズンでのCS4セーブ目を挙げ、2007年に岩瀬(中日)がマークした最多記録に並んだ。
マウンド度胸、ハートの強さは折り紙付きだ。同級生にはメジャーで活躍する秋信守(レンジャーズ)に李大浩(ソフトバンク)ら、国を代表する名選手がそろい、ゴールデンエイジと呼ばれている。切磋琢磨する仲間たちは大柄で、体格は呉昇桓が最も小さいのだが…。
「みんな呉昇桓より体が大きいけど、彼がいちばん気が強い。けんかしたら、いちばん強いよ」
そう明かすのは、檀国大時代にバッテリーを組んでいた同い年の宋山氏だ。同氏は韓国KIAで昨季までプレーし、現在も呉昇桓のマネジメント会社でサポート役を務めるだけに、説得力は大アリ。打者に対する威圧感の源は、すさまじいほどの負けん気根性にあったのだ。
これで秋の短期決戦は全5試合に投げ、レギュラーシーズンを含めると9月26日の広島戦(甲子園)から10試合連続登板だ。その存在感は2007年に10試合連続登板で10連勝に導いた伝説の守護神・藤川(現米大リーグ・カブス)の姿とだぶる。
「(10連投は過去にあったか)覚えていない。でも、みんなしんどい。自分だけの問題ではない」
日本シリーズ進出まで、あと1勝。最後の最後、歓喜のときが訪れるまで、献身的な姿勢で終盤戦を守り抜く。