内発的動機づけと外発的動機づけは、絡み合った関係。
と言いたい。
時代に応じて、どちらかにフォーカスするのは構わないが。
一読したいね。
A氏:今月の『ハーバード・ビジネス・レビュー』を読んだかい。「知識労働者のモチベーション心理学」(一三九ページ)という論文は、やはり仕事へのやりがいとか、上司の温かい言葉や積極的な支援といった「内発的動機づけ」こそ、人々のやる気を引き出すものであって、賃金や待遇、出世といった「外発的動機づけ」はあまり効果的ではないと言っている。まったく賛成だね。
B氏:僕も読んだけど、プログラマーってのは、知識労働者を代表するサンプリングといえるのかね。しかも、ピラミッド構造とグラス・シーリングという問題を脇に置いたまま、内発的動機づけが最善解とするのは非現実的やしないか。思い出してごらんよ。ニュー・エコノミーといわれた時代、どこの国でも、経済的インセンティブを求めた若者たちが急増したことを。
A氏:しかし、コーチングやメンタリングの効用は広く認められているし、ほめて育てるのは、いまや当たり前だよ。また、労働環境や企業文化が、積極的な権限委譲と能力開発を奨励するもので、しかも近年注目されているワーク・ライフ・バランスを重視すれば、社員のみならず、組織の労働生産性も高いといわれている。
B氏:内発的動機づけを否定しているわけではないさ。もちろん「人はパンのみにために働く」わけではない。ただ、外発的動機づけはあまり効果がないと主張しているところに違和感を覚える。内発的動機づけは万能薬ではないし、またひねくれて見れば、報酬を抑えるための方便ともいえる。
A氏:そうは言うが、人間の脳というのは正直で、だれかのために頑張っている時に、ドーパミンを分泌するそうだ。利己的な報酬ともいえる外発的動機づけは、本当の動機づけ要因とは言いがたいんじゃないかな。
B氏:その脳の話はおもしろい。けれど、年齢、性別、社会的な立場、組織内での役割、バックグラウンドによって違うんじゃないのかね。それに、その人の組織におけるパフォーマンスやキャリア・パスにおける現在の状況にも左右されるんじゃないか。「メンタリングの原点」(五六ページ)でも指摘されているが、組織には「二:六:二」という法則が、なぜか働いている。これらの人たちの動機が同じとは思えないがね。
A氏:それはそうだよ。研修だって、違ってくるからね。
B氏:ならば、部門や職種の違いも考慮すべきだよね。つまり、範囲の経済とかいって、人事や研修を標準化・制度化していることが問題なんだろうと思うわけ。これって、工業化社会の発想でしょ。ワン・トゥ・ワン・マーケティングがいわれて一〇年以上経つのに、社員は相変わらず十把一絡げにしていることがおかしい。
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