10年ほど前のことです。
当時私は派遣社員。いろいろな紙の箱を製造する工場働いていました。

そこではレトルトカレーの紙の箱も製造。
一日数十万個。製品は通い箱というダンボールにて、カレー工場に運ばれていました。

*大塚食品のボンカレーのことです。

通い箱は何度も使用します。
製品を運ぶと、通い箱は折りたたまれて戻ってきます。次に使うには、前回貼ったガムテープを剥がさなければなりません。

ガムテープを剥がさないと、通い箱にガムテープを貼ることができないからです。地味な作業だけど、この作業は結構大変です。

なかなか剥がれないことも多々あるし、
カレー用の通い箱は数が多く、一度に数百の箱のガムテープを剥がすこともあります。

この作業をその工場では何と言うのか?

そうです『カレーをむしる』と云う。

こんな言葉聞いたことがない。

だってカレーは絶対にむしれない。
ここ以外では絶対使わない。そして絶対に通じない。でも何とも言いたくなる。不思議で不思議なヘンテコ業界用語。

元ちょいワル不良少年風の若い社員が、私によくこう言っていました。

「カレーむしっといてくれていいっすか?」