『名門校の「人生を学ぶ」授業』おおたとしまさ・著 SBクリエイティブ
名門校と呼ばれるほどの進学校ほど、受験勉強以外の教育により多
くの時間を割いている
灘の数学のレベルの高さを象徴する名物授業がある。中2から高2
を対象にした「オリガミクス入門 作図可能性を巡って」である。
週5日制の灘において、土曜日に開講される特別講座「土曜講座」
の人気授業である(中略)受講希望者を募るパンフレットには次の
ような説明が書かれている。
古代ギリシャ以来、コンパスと定規のみを用いた作図はユークリッ
ド幾何の諸定理のある種の実証として重宝され、現在の数学の授業
では必ず扱われています。しかし、この作図方法には限界があり、
その限界を乗り越えるために種々の作図用の工具が開発されてきま
した。
折り紙による作図です。
ギリシャ3大作図不可能問題の1つでもある「角の三等分問題」に
も挑むという
「美しいものに感動する喜びは国境を越える」との考えから「選択
芸術講座」を多数用意している。「声楽」「クロマチックハーモニ
カ」「陶芸」「書道」「演劇」など(聖光学院中学校高等学校)
桐朋出身者は皆、普通ではない難易度のなわとびができる(中略)
桐朋生は「生徒手帳」ならぬ「体育手帳」を持っている。なわとび
の技のリストはもちろん、跳び箱、鉄棒、バスケットボールやサッ
カーなどの球技まで、到達目標が体系化されている
ただやみくもに騎馬戦をしたり綱取りをしたりするわけではない。
高3が練習風景を動画に撮り、下級生一人一人の動きを確認、改善
点を指導する。自分が指導した後輩たちが勝利を収めることができ
るかどうか、高3のクラス担当の肩に責任が重くのしかかる。成績
が悪ければ、高3の責任者が頭を丸めるのも開成の伝統だ
先生の無茶ぶりで、即興劇をつくる(海城中学高等学校)
「
しかし筑駒の水田稲作学習は、『ちょっと稲作体験をしてみよう』
というような気軽なものではありません。まず種籾からスタートす
ることが特徴です」
8時15分からの5分間だけは、豊島岡の校舎全体が、
まってしまったかのような静寂に包まれる。
椅子を引く音すら許されない雰囲気がある。「運針」の時間だ。豊
島岡の生徒は一人一人、真っ白な布と、真っ赤な糸と、そして裁縫
針を机の中に持っている。8時15分のチャイムが鳴ると一斉に、
い糸を通した針で、白い布の端からまっすぐに、針目を揃えて縫っ
ていく
『名門校の「人生を学ぶ」授業』おおたとしまさ・著 SBクリエイティブ
目次
第1章 まるで幼児教室!?な授業
第2章 他者とかかわり自己を知る
第3章 教科の枠を超えて学ぶ
第4章 意味はあとからわかる
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名門校の「人生を学ぶ」授業 (SB新書) [ おおたとしまさ ] |