~肥田先生の講話より~


ご紹介いただいた肥田舜太郎です。長い間、待望していた、みなさんのような優秀な方々による内部被曝問題研究会が発足しまして、おそらくこれは世界で初めてだと思います。核兵器に関心を持っている国、あるいは現在、原発を動かしているどこの国でも、内部被曝の問題はほとんど知られていません。特に国民のみなさんには、まったく伏せられています。内部被曝が隠されているからです。それは、やはり放射能というものを利用して、金を儲けようという側にとっては、その被害が詳しく知られるのは最も恐ろしいことだからです。 だから全精力をあげて、内部被曝は害がないと、地球上のすべての国でそう思い込むようにやってきました。
私は広島で軍医をしていて、自分も被爆をしたのですが、偶然、命が助かりました。しかしその瞬間から、殺された人、焼き殺された人、そういうのをいやというほどみてきました。ですから、あの爆弾が原爆だということわかって、その原爆が放射線を出すということがわかるまでには、少し時間がかかりまし
たけれども、基本は放射線が主力の殺人兵器だというふうに私は認識しています。そして67年間、今でも私に相談にくる被爆者がいますから、ほとんど後半の半生は全部、被爆者のために生きてきたといっても、過言ではない生活を送ってきました。
それほど卓越した医者でもありませんし、学問的にもそれほど深いものを持っているわけではない。平凡な町医者です。研究をすることは時間がなくてできません。症例だけはたくさん持っている。そしてそれを今、振り返ってみると、他人が見てああこの人は被爆したんだなと、ケロイドがあったり、やけどをした痕が残っている人がいます。そういう人ももちろん、大変な苦しみを味わったのですが、内部被曝を受けた人には、外からみたのではなんの証拠もない。具合が悪くて医師にかかっても、日本の医師で内部被曝を知っている医師は当時、ほとんどいませんでした。
ですから検査をしたり診察をしても、彼らの持っている医学知識ではどこにも異常が認められない。必然的に「あなたは病気ではない」という言葉が出る。
医師は自分が学んできたことに基づいて、検査の成績にせよ、診断の結果にせよ、どこかに異常があって、それが心臓なり、肝臓なり、すい臓なり、腎臓なり、どこかの内臓に疾患があると判断がつけられない限り病名がつけられない。
ですから私のところに泣いて相談にくる大部分の人は、どんな大きな病院にいって、有名な先生に診てもらっても、あなたには病気はないといわれたのです。
「自分がこんなに苦しんで、まともには生きていけないほど体が悪いのに、なんで医者が診て、病気でないと言えるんですか。」そういってみんな怒ってきます。私はそういう患者ばかりをずっと診てきました。そしてできることは、本人を励まして長生きさせることだけです。その状態を治療する方法がわからない。だから結局は本人に健康を守るような生活を指導して、一緒に長生きしようと言うことしかできなかった。
被団協という日本で唯一の被爆者の組織に加わりまして、たった一人の被爆医師でしたから、結局、私がやった仕事は、20万、30万の、生き残った被爆者の長生きをはかることでした。放射線のいたずらに抵抗して、健康を守って生き抜く。これが私の任務だなと思ってそういう仕事をしてきました。ですから今、日本中を歩いて、いろいろな話を頼まれてますが、みんなが私に要求するのは、「どうやったらこの子を長生きさせられるのか」、「この女の子を結婚させて子どもがちゃんと生まれるでしょうか」、「私もまだたくさん生きて、面倒をみなければならない、長生きできるでしょうか。どうやって生きたらいいのか」
ということです。
だからたくさんの専門家の人が「事故を起こした発電所から、できるだけ遠くに行って、放射線の来ないところで行きなさい。あとは水と食べ物を、絶対に汚染されていないと確かめたものだけを食べなさい」と、そういう指示をする。
みなさんもそういう話をテレビで見たと思います。それができる人が何人いるのか。大部分の人はできません。できないことを教えたって仕方がない。だから私はみんなにできることを言います。それを言ってくれる医者だということで、全国から来てくれ、来てくれと話がくるのです。
それは私が被爆者として、たくさんの被爆者仲間を、ガンや白血病にかからないで、寿命の限り長生きさせようという運動を、何十万の被爆者と一緒にやってきた経験があるからです。結論から言えば、自分の健康を守って、自分の命を何より大事だと本当に思って、その命を損なわないような、理想的な、健康な生活を意識的に努力してやる以外にない。それしかない。私はたくさんの被爆者とそういう運動を続けた経験から、確信をもってそういいます。ほかに名案はない。
もう一つは、「自分と自分の子どもだけは幸せになるという考えを絶対に持つな。幸せになるなら、みんな、同じ母親と子どもが、みんな幸せになる道を考えろ。それには努力をして、日本中の原発を全部とめる。それと世界中の核兵器をなくして、日本の国がんまたまた核戦争に利用されるようなことは絶対にしない。それには勇気を持って、アメリカに帰ってくれと言うことなんだ。そこまで突き詰めなければ、この原発問題は片付かないよ。」とそういう話をして歩きます。
これは思想でもなんでもない。「いまある原子爆弾の放射能という、余計なものの被害で苦しんでいる状態から抜け出そうと思えば、一番それを妨害しているアメリカさんに帰ってもらう以外にしょうがない。原発どころじゃない。
核兵器まで持ち込んでくる。そんな手合いは、もう戦争は終わって、67年経って、もうそのときの償いは、十分われわれはしてきた。明日からまだまだ奉公しなければならない理由は何にもないんだ。そういう覚悟が決まれば、あなたは、放射能と闘って生きる勇気が持てる。」そういう話をしてきます。
みなさんはもうとっくにご承知だと思うのです。直接、外部被曝を浴びる場合は、放射線の強さに一定の条件がある。皮膚を貫いて中まで入るだけの、そういう放射能の強さがなければ、外部被曝で人間の体に害を与えることはできない。しかし内部被曝の場合は、放射線の量、大小は無関係、どんな少量でも入ったら最後、被爆者なんです。入った放射能はたくさんだから危ない、少量だから大丈夫などということはまったくない。
アメリカは、入った放射線が、内部被曝は微量だから、人間の体には害を与えないという何の根拠もないうそを、落とした瞬間からつき続けてきた。たくさんの人がそれに惑わされ、たくさんの大学教授が、研究もしないで、内部被曝は量が少なければ安全だと今でもまだ思ってます。
私は、広島の被爆者の、同じところで、同じ状態で被爆をした人間が、片方が3日後に死に、片方が今日まだ生きている例を知っています。人によって違うのですね。つまり放射線と人間の関係は、その放射線と、今それを受けた人間の健康状態の関係で、それが、その人の将来を決める。同じ状態が起こっても、みんな被害が違う。それをたくさん私は経験しています。福島の人に何マイクロシーベルトでどうのこうのといろいろな意見が出ていて、全部同じように、あなたの子も、向こうの子も、その向こうの子も、同じような条件で被曝をした。しかし明日からこの子達に起こってくる運命は一人ひとり、みんな違う。こっちは100まで長生きするかもしらん。こっちは悪いけれども高校生のと


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基調講演 肥田舜太郎さん:市民と科学者の内部被曝問題研究会 4月22日(日)と記念講演・シンポジウム 1)記念講演 肥田舜太郎 2)記念シンポジウム 司会・松井英介・西尾正道     シンポジストからの発言 沢田昭二(物理学者)「放射線内部被曝研究の現状と課題」 矢ヶ崎 克馬(物理学者)「内部被曝の基礎...