シャチハタ | flat3 football club 監督日記

flat3 football club 監督日記

街の片隅で細々と活動しているU-15のサッカークラブでした。

できるだけボールを蹴らずにサッカーが上達する方法をさがしていました。

今は「教えない指導」「教えない教育」の布教活動中です。

宅急便を届ける配達員の話

オートロックのマンションの△□○号室の住民は、頻繁にネットショッピングをして配達員から荷物を受け取るのだけれども、『ありがとう』の『あ』さえ言ったことがない

『あ』どころか、マンション玄関のオートロックを部屋から解除する時も無言のままだ

部屋に荷物を届ける時もドアを少しだけ開けて荷物をサッと受け取り、配達員の手から伝票を奪うように取り、適当な場所に面倒くさそうにシャチハタを雑に押してすぐにドアを閉める

配達員が△□○号室に荷物を配達するようになってかれこれ2年間

ずっと無言。ずっと雑。


ある日、△□○号室の住民が、荷物を受け取る時にドアを全開にした

全開になったドアの向こうにはシャチハタを手にした幼い女の子がいて、配達員を見つめていた

『ハンコ押したい』
何も言わなくても、女の子のやりたい事はわかった

大量の荷物と迫りくる時間と無茶苦茶なクレームに追われる今の時期
大袈裟ではなく1分1秒を急ぎたい配達員は、心の中で△□○号室の住民に、つぶやいた

「アナタの今までの仕草を真似しましょうか?
一言も言葉を発せずにこの女の子の手からシャチハタを奪い取って伝票に雑に認印を押して黙ってバタンとドアを閉めて帰りましょうか?
この子はどんな気持ちになるでしょうかね?
ちょうどいい機会です
アナタの今までの仕草を真似しましょうか?」


幼い女の子に自分と同じ思いをさせたくなかった配達員は、二度失敗して三度目にようやくうまく押せたシャチハタを握りしめたその女の子に大きな声で

『うまく押せたね!ありがとうね!バイバイ』
と告げてゆっくりとドアを閉じて、また次の配達先へと走り出したのでした。