映画『世界一キライなあなたに』(原題:Me Before You)は、安楽死をテーマに描かれた作品を観ました。
公開当時、その内容は多くの議論を呼んだようです。ロマンティック・コメディとして語られる一方で、障害者の命の価値について偏ったメッセージを与えかねないと、批判の声も少なくありませんでした。
私自身、この作品を観て強く感じたのは、「死に匹敵する苦しみ」を他者が評価することの難しさです。
どんなに親しく、どれだけ愛していても、身体や心の奥にある痛みや葛藤は、結局のところ本人にしかわかりません。
一方で、この作品からもう一つ、心に残ったメッセージがあります。
それは、「自分の死を、誰かの人生の妨げにしないように」という強い願いです。
主人公は、自らが去った後も、愛する人が自分の人生を生きていけるよう、
『焦がれて泣き悲しまず、前を向いて進んでほしい』という想いを言葉にして伝えます。
これは、寿命を迎えるときにも通じる大切な感情だと感じました。人はいつか、命の終わりを迎えます。そのとき、残される人たちが「もっとこうしていれば」「なぜあの時…」と、後悔や悲しみに囚われてしまうことは珍しくありません。
けれど、自らの人生の幕を下ろす側として、
「あなたとの時間は素晴らしいものだった感謝している。旅立つことに悔いはない。あなたはあなたの人生を生きて」
と伝えておくことができたなら、愛する人のその後の人生は、前を向いて進みやすくなるかもしれません。
生きることも、逝くことも、どちらにも「愛のかたち」がある。そんなことを、静かに教えてくれる映画でした。

