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チャンネルY さいたま支局

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沖縄県うるま市で女性が遺体で発見された痛ましい事件。早速沖縄の地元2紙は待ってましたとばかりにこの調子です。

「米軍属女性死体遺棄事件で、死体遺棄容疑で逮捕された元米海兵隊員のシンザト・ケネス・フランクリン容疑者(32)が「乱暴しようと思った。首を絞め刃物で刺した」などと供述していることが20日、捜査関係者への取材で分かった。」(琉球新報5月21日)

「元海兵隊員で米軍属の男による女性遺体遺棄事件を受けて20日、沖縄県内は怒りや悲しみに満ち、幾度となく繰り返される米軍絡みの事件に抗議が相次いだ。
 男の働く米軍嘉手納基地の第1ゲート前(北谷町砂辺)では午後0時すぎから、第3次嘉手納爆音訴訟原告団などが抗議集会を開催。200人以上が参加し「最悪の事件だ。沖縄から全ての基地を撤去せよ」と訴えた。」(沖縄タイムス5月21日)


琉球新 5月20日「人殺し基地は沖縄から出て行け」 嘉手納基地に250人、憤り頂点

地元2紙と沖縄のキチガイ左翼は、この事件を「全基地撤去」、つまり日米同盟の廃棄に結びつけたいようです。


シンザト容疑者が「元海兵隊員」だったというこを必要以上に強調して、「基地があるから殺人事件が起きる」というのが沖縄2紙と左翼側の論法ですね。

いいっすか、かつては海兵隊員であったとしても、今はただの基地に関わる民間会社の会社員にすぎません。

こういう「元○○」という表現が再三なされてきたのは、自衛隊員なんですよ。

自衛隊員は退官して十年立とうと、何か犯罪に関われば「元自衛隊員の犯罪」として報じられます。

これは悪質な職業差別じゃねーか!という話ですよ。「元市役所職員の○○が犯罪」という表現はしませんからね。

シンザトが海兵隊に在籍していたことは事実でしょうが、別に海兵隊員がこの犯罪を犯したわけじゃないんですよ。

しかし奴らは自衛隊や海兵隊を絶対「悪」と見立てて、バッシングしたいわけです。

シンザトがいつ海兵隊を辞めたのかまではわかりませんが、退職後まで「元海兵隊」という肩書で書かれるのだから、たまったもんじゃありません。

この2紙は、今回の事件と無関係な在沖海兵隊とを結びつけたいための印象操作しています。会社の方針で!

ですから、「元海兵隊員」ということを強調したいために、シンザトの日米地位協定上の地位である「軍属」をスルーしてしまっています。

大方、「軍属」程度ではパンチがないと思ったんでしょうね。

シンザトの職業は、基地に勤める民間人の「軍属」(シビリアン・コンポーネント)です。もっと正確にいえば、「米軍と契約を結んだ民間会社の社員」です。

琉新はこう書いています。

「同容疑者は米軍属で、米兵と軍属の保護などを定めている日米地位協定で保護される権利を有しているが、今回の事件を巡っては(1)公務外の犯行(2)基地外に居住し、日本側当局が先に身柄を確保した-などの条件が重なり、起訴前の身柄の引き渡しなど、地位協定を巡る問題は生じていない。」(前掲)

琉新はシンザトが「軍属」だが、公務外で、沖縄県警が先に逮捕したので、地位協定の枠外だと言いたいようです。

枠外なのは確かですが、シンザトの「軍属」の地位は元々地位協定とは関係のないものです。

では改めて米軍がいう「軍属」は何か、押さえておきましょう。

日米地位協定第1条(b)は、「軍属」をこう定義しています。
日米地位協定 - Ministry of Foreign Affairs of Japan

「(b) 「軍属」とは、合衆国の国籍を有する文民で日本国にある合衆国軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴するもの(通常日本国に居住する者及び第十四条1に掲げる者を除く。)をいう。この協定のみの適用上、合衆国及び日本国の二重国籍者で合衆国が日本国に入れたものは、合衆国国民とみなす。」

問題はこのシンザトが、この「軍属」のうちのSOFA(ソファーJapan Status of Forces Agreement)の地位かどうかです。
AGREEMENT UNDER ARTICLE VI OF THE TREATY OF MUTUAL

「軍属」という表現は実はあいまいで、米軍が直接雇用しているのか、それとも軍が契約する会社の社員なのかの違いを明確にしておらず、区別は米国籍かの違いだけです。

これでは今回のような事件が起きた場合、欠陥条文となってしまいます。

米軍は3種類の「軍属」を持っていますが、日米地位協定ではただ「軍属」とあるだけで、その区別がつきません。

米軍がいう「軍属」には3種類あります。

①米軍基地に配属されている教育や行政職の米国公務員(ジェネラル・スケジュール)
②米軍と契約のある民間会社に雇用されている米国の文民(コントラクター)
③現地雇用の日本人従業員(ローカル・ハイヤー)

つまり、①はSOFAですから地位協定内ですし、③は日本人従業員ですからもちろん枠外です。

しかしシンザトのような②の契約会社社員まで日米地位協定の枠内である、「軍属」規定が及ぶかどうかが明確にされていません。

米軍はNATOとの地位協定では、「軍属」とは「締約国の軍隊に雇用される」(who are in the employ of an armed service)と厳密に規定していますから、シンザトのような民間会社社員はただの「基地に働く労働者」にすぎず、「軍属」とは見なされません。

日本においてもシンザトは、基地のインターネット保守業務をしている会社に雇われただけの「社員」ですから地位は、米軍と契約している民間会社に雇用されている米国籍の契約文民(コントラクター)にすぎません。

当然、NATO流にシンザトを解釈すれば、日米地位協定による保護から外れるはずです。

日米地位協定の玉虫色的性格のために、この「軍属」規定もまたあいまいなまま放置されています。

及ばないとするのが、国際的通念ではないでしょうか。

もし、日米合意が②の契約文民にまで含めるのなら、この事件を受けてすっきりとNATOの国際通念に合わせるべきです。

日米地位協定第17条5(c)は、「刑事裁判手続に係る日米合同委員会合意」(平成7年10月)の中で、こう述べています。


・日米地位協定第17条

「合衆国は、殺人又は強姦という凶悪な犯罪の特定の場合に日本国が行うことがある被疑者の起訴前の拘禁の移転についてのいかなる要請に対しても好意的な考慮を払う」


しかし、今回のケースは米国の「好意的配慮」を頂戴しなくとも、日本の司法権が100%及ぶと考えるほうが自然です。

ですから、このような翁長氏の「日本政府は当事者能力がない」という言い分は、間違いです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160520-00000012-ryu-oki

「この70年間、基地のある市町村長は訴えているが、政府は当事者能力がなくただ米軍に伝えるだけで今日まで来ている。
本当に憤まんやる方ない形で抗議しているが、今日まで残念ながら聞く耳を持たなかった。今回も多くの関係者が抗議するが、今のままではいけないということにつなげていかなければならない」(琉球新報(5月20日)

翁長はことさら、この事件を基地問題や普天間移転問題に結びつけたいがために「政府には当事者能力がない」と言っていますが、なんかねぇ~ってね。

日本政府は、今、見てきたように完全にシンザトを逮捕し、裁く権利という「当事者能力」を持っています。

今回、シンザトの重大犯罪は、「基地があるから」という事自体は間違いではありません。

なるほど米軍に広義の意味での、監督責任はあるでしょう。

そしてそれの規律の弛緩を抗議する資格は、昨日首相が「今後、徹底的な再発防止など厳正な対応を米国側に求めたい」というように、当然日本政府にあります。

このような米軍がらみの事件は日米同盟そのものを揺さぶってしまうために、逆に同盟国だからこそ、厳しく抗議しないといけません。

しかし、米軍の監督責任は、あくまでも間接責任でしかないことも事実なのです。

ここで翁長が言う日本政府の当事者能力うんぬんは、この事件に便乗して、日本政府との交渉を有利に運びたいという下心(腹黒さ感)が見え見えで、心底うんざりします。

翁長氏が「基地があるから危険だ」と言うこと自体は判らないではありませんが、ならば一刻も早く住宅地のど真ん中にある普天間基地を、より安全な過疎地に移転すべきなのです。

翁長氏の言うことは、「基地があるから女性殺人事件が起きたんだ。だから危ない米軍基地は移転させないぞ」というハチャメチャな言い分になってしまいます。

逆だバカと。だからこそ、辺野古移転は進めねばならないのです。辺野古が駄目なら辺野古に代わる代替案を沖縄県知事側にある翁長よ!代替案を示せよ!

同じように、事件が起きたから「日米同盟は廃棄だ」等と短絡するのではなく、「同盟国だからこそ」その同盟関係を守るためには、より厳しく抗議せねばならないのです。

このような事件かあったからこそ、その危険を最小限に押さえるためにも移転を進めねばならないのですよ。