いつものとおり
いつもの道で
いつもの角を曲がって
君に会いに行く朝でした。
その髪の色が
突然目に飛び込んできて
あわててブレーキを踏みました。
鮮やかなパープル。
「3男くんだ!」
叫んでみたって無駄なだけです。
わかっているけれど
抑えることはできませんでした。
助手席の母は唖然としていました。
無理はありませんね。
娘がハンドルを握りながら
後ろを振り返っているんです。
見えた顔は君とはぜんぜん違う。
年の頃もだいぶ上。
似てもないのに どうしてなのか、、、
その姿に惹かれたのです。
思えば今の君を私は知りません。
21才になった君が
どんなに変わっているかなんて。
だから街でふとすれ違っても
君に気づかないかもしれないのですね。
もしかしてあの男性が気になったのは、
そこに『今の君』がいたからなのでしょうか。
少年ではなく成人している君。
私の知らない息子の姿だったのかもしれません。
それが証拠に 通り過ぎた後に、
私の胸がふんわりとしていました。
母の時計は
あの日から止まったままなんだけれど
そこには まるで灯がともったように
暖かいぬくもりが残っていたのです。
