3男の頭の中では、

ノクティスの次のコスプレも決まってたんだそうです。

トラファルガーローという、

ワンピースのアニメに出てくるキャラクターですって。

もちろん、私はそんな名前も何も知りませんでした。

3男の部屋に飾ってあるフィギュアを見て、

レイアが言ったのでわかりました。

「コレが彼のやろうとしてたキャラよ!!」

 

 

主がいなくなっちゃったロー…

 

 

言われれば思い出しました。

切り出しがやり易いという発砲木材を探しに

去年3男と二人で何軒も店を回りました。

そして作った原型に、

ネットで購入した柄糸を丁寧に巻いて、

見事な日本刀が出来上がって、彼の部屋に置いてあったのです。

3男が天へ帰った日には、

2本目のその刀も一緒に棺に入れてやったのですが、

その刀こそ、その『ロー』が携えているものだったんだと

今ごろ知りました。

ただ、レイアが続けた言葉に、

私は一瞬体が固まってしまいました。

「3男くんは、ローのズボンまでは出来たって言ってたよ」

ローのズボン?

見れば、ジーンズに斑点がついてるみたいな感じ…

 

 

    ダイヤグリーン

 

 

前にも書きましたが、

私は未だに、3男のシーツとかパジャマを

洗えてないのです。

いつかは区切りとして『決行』しなきゃならんのでしょうけど、

とってもとっても、決断なんてできそうもない・・・

だからというわけではないんですが、

この夏のおわりに、突然思い立って、

部屋に雑然としてある衣類だけは整理し始めたのです。

つまり、誰かが着る可能性があるものか、手放せないもの以外は、

古くなってどうしようもないもの、小さいもの、絶対着ないだろうものを一式として、

まとめて捨ててしまったのです。

ところが、その『ロー』の出で立ちを見て、心臓がドックンとしたのですよ。

 

たしか・・・

 

『絶対に着ないだろう』の服の山の中に、

変わったジーンズがあったような気がしました。

「何コレ? 水玉の模様? 変なのっ!」

いやいや、気がしたんじゃなくって、

確実に見ましたっ。ソレ。

ありゃ 水玉模様のジーンズじゃなくって、

ローのズボンだったんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ  涙

そして、確実に、捨てる袋に詰めましたよ。私。

 

ごめんよ、3男くん。

まさか そんなものが残ってたなんて

思いもしなかったんだ。

きっと君はあの不貞腐れた顔して

むくれてるよね。

(そんな君でも会いたいけど…)

参った。

君の部屋、

余計に手つけられなくなっちゃった。