ツアーファイナルズの第1戦で、ロジャー・フェデラーに4年半ぶりに快勝(と敢えて言っておく)して貴重な1勝を挙げた錦織圭。

今夜11時(日本時間)から行われる対
ケビン・アンダーソン
との第2戦は、準決勝進出に向けて、ある意味第1戦よりも「負けられない戦い」になる。

今日錦織が勝って、フェデラーがティームに勝つとその時点で錦織圭の準決勝進出が決まるからだ。ただし、それは第1戦でティームに勝ったアンダーソンも同じ(セット率も同じ)なので、両者にとって重要な一戦である。

第1戦の錦織の勝ちを
「フェデラーの出来が悪かったから」
とするメディアもあるが、これは間違っている。
確かにフェデラーも不調だったが、第1セットの錦織も良くなかった。それはお互いに感じていたはずで、そこから抜け出すきっかけとなったのが錦織のあのスーパープレーで、お互いに悪い中で先に流れを掴んだのが錦織だった、というだけである。

しかし、プロの世界は結果が全て。第2セットに立て直してフェデラーを突き放した錦織の勝利の価値が下がるわけではない。

そして、今夜の第2戦も
「負けられない戦い」
だ。

アンダーソンとはここ1ヶ月の間に2回対戦して1勝1敗。直近で勝ったのは錦織。
この、パリで勝った時の錦織は、その前のウィーンの決勝で負けた時とは明らかに戦い方を変えて成功した。
「力勝負をしないで引き出しの多さで勝負」
これがうまくはまってアンダーソンの良さを出させなかった。

問題は、今日も同じ戦術でいいのか、ということだが、これは難しい。
二人共、直近で勝った試合、負けた試合、まだ記憶に新しいので、出来れば二人共いいイメージを持っている戦い方をしたいはず。しかしお互いに相手に気持ち良くプレーさせないことも考えなければならない。

アンダーソンのティーム戦のスタッツを見たが、ファーストサーブの確率は60%で高くないが、入った時のポイント獲得率は90%と、殆ど取っている。しかしセカンドになると獲得率57%と、ビッグサーバーの割に高くない。
やはり、エース級のサーブは放置。少しでも甘く来たり、読みが当たったらとにかくリターンは返す。そしてセカンドはリターンを深く返して3球目で攻めさせず、ラリーに持ち込んだら力勝負をしない。

あとはフェデラー戦と同様、自分のサービスゲームのキープは絶対条件。ブレイクチャンスは1セットに1〜2回しかないと思って粘り強く戦う。

錦織はフェデラー戦でフェデラーが不調と分かると
「これは勝たなければいけない試合」
と自分に言い聞かせて戦った。

今日も同じだ。決してネガティヴに考えず、
「絶対に勝つ!」
というメンタルで戦えるかどうか。

フェデラー戦で、戦術的に変えたこと、とメディアに問われて
「明かせないことが多いので」
と、具体的には話さなかった。

その記事を読んで僕は
「錦織は完全に本気モードに入れているな」
と思って安心した。

今夜も錦織圭は、きっとやってくれる。