チェスターの「お・も・て・な・し」 精神

 

ローマン城壁をくぐって一歩街へ踏み出すと、そこは近世の世界。1500年代に建てられた白の漆喰と、黒の梁・柱が特徴のチューダー朝の建築物が続く。一瞬にしてタイムスリップだ。

 

中でも一番の賑わいを見せるのがココ ↓ 街の中心地のクロスロード。

 

この中心点に立って、ぐるりっと見回すと、チューダー朝の建物とモダンな建物とが違和感なく並んでいる。

 

  

左は城壁から眺めた街並み。 右の建物は “Three old Arches”(その名の通り、3つの古いアーチがある家)で、建てられた年が1274ADと記されている。なんでも、ペストが猛威をふるった時に、この家の住人だけは病魔から逃れ得たということで有名な建物なのだそうだ。

 

この街の建物のユニークなところは、二階部分が横につながっていることだ。二階にいる客が、隣の店に行くのに、一階に降りる必要がなく、そのまま隣の店の2階に飛び込めることになっているのだ。

 

    

  二階建ての店の外からの外観。  店の二階部分。廊下で隣とつながっている。

 

ここチェスターの中心点では、いつもミュージシャンやパフォーマーがいろいろな技を披露している。最近見かけたのがこの人。黒いズボンに赤いジャケット。日本の瓦版売りみたいに、巻物を広げて大きな声で読み上げていた。

 

   

観光客がそれに応じて、「オー!」とか 「えっ~」とか言って、掛け合いを楽しんでいた。

 

人の波が引いたところで、近寄って、「この衣装は市長さんのですか、パブリック・オフィサーのですか?」と聞いてみた。答えは “town crier” (町のお触れ役:町会議や裁判所などからの広報係)とのことだった。

 

彼の前にあるのは、何やら恐ろし気な処刑の道具? ジョナサン・スウィフトやられたように、これに罪人の手か足か首を入れるのだろうか? 

 

ところで、彼はナニモノで、誰の差し金(?)でこんなパフォーマンスをやっているのだろう?   市の観光課からの「お・も・て・な・し」?

 

そういえば、この街ではこんな姿のおじさん& お兄さんによく出会う。

この勇ましい兵士は、皆さんガイドさんだ。これはガイド料が取られるようだ。

 

かつて25年の兵役を終えたローマ人兵士は、退役後、その地に住み着いて(うまくいけば土地の女性と結婚して家族をもって)、生涯を終えたという。

 

その後やってきたノルマン人、アングロサクソン人、北欧からのバイキング、それ以前に住み着いていたケルト人やウェールズ人etc.----私たちがイギリス人と呼んでいる人たちは、これら諸々の種族から成り立っている。にもかかわらず、ガイドの皆さんローマ人兵士なのだ。

 

ローマ人を祖先に持っていることを、この街の人たちは誇りにしていることがよくわかる。それだけ、ローマというのはヨーロッパの人たちにとってはインパクトが強いのだろうなァ。そういえばチャーチルが「我々の歴史はローマに始まる」とか言ってたよな。

 

(イギリスの中産階級はイタリア旅行が好きだが、労働者階級はスペイン旅行が好きだ----と、以前、聞いたことがある.。イタリアへは自分たちのルーツを求めてだが、スペインへは、物価が安いからというだけの理由。)

 

 

こんな若者にガイドされると笑顔にもなるというものだ。

  

1500年代の街並みが続く素敵な通り。