アジアの「アン・フリーク」

 韓国語版の『赤毛のアン』  

 

この旅の課題の一つは、「なぜ、日本ではアンのファンが多いのか?」ということであった。

日本人の「アン好き」はPEIでも有名で、絵ハガキや、PEIの産業(観光業)の本にも、写真入りで紹介されているほどだ。

 

その理由はいろいろ挙げられている。ここでも紹介した小倉千加子の説では、(少々乱暴だが一言でまとめると)「日本の女性は結婚願望が強いから」というものだった。(「結婚願望」と「アン」の関係、今回は省略ネ)

 

そのほかに、これまで見聞きした説を並べてみると----

 

1.TVのアニメによって広く親しまれるようになった。

2.受験勉強や、少女たちのいろいろな遊びなどが、日本の少年少女の共感を呼んだ。

3.閉鎖的だけど、親和的な農村コミュニティーの環境が、もともと農耕民族であった私たちのノスタルジーを呼び覚ました。

4.牧歌的な風景描写も同様に。

5.それまでの子供向けの物語は「模範的な良い子」であったのが、失敗ばかりする 癇癪持ちの夢見るヒロインのキャラクターに共感が持てた。

 

6.いわゆる「美少女」ではなくて、やせっぽち、そばかす、赤毛というマイナーな容姿に、読者は親近感を持ち、感情移入がしやすかった。

7.「美人」でも「良い子」でもない少女が、クラスで一番素敵な少年に真剣に愛された(思いをかけられた)ことが、「タダの少女」である読者たちを酔わせた。(「私にもチャンスがあるかも?」ってネ)

8.アンが日々努力して素晴らしい女性に成長していく過程に、「努力」さえすれば、自分でも」----と、大いに勇気づけられた。

 

 

----自分自身が「アン・フリーク」となった理由として、これらの説には「同感」するものもあれば、「ぜ~んぜん 関係ないなァ」と思うものもある。だって、私の時代には「TVアニメ」なんかなかったし、それに、14歳の私に「結婚云々は、まったく意識に上っていなかったし----、とかなんとかいった検証(?)も、省略。

 

しかし、この記録を修了する前に、私なりにこの問題に何らかの答えを出しておきたいと思う。

 

日本で『アン』が人気を得たのは、アジアのどの国よりも早く『赤毛のアン』が翻訳・紹介されたこと

      ・それは何より、村岡花子さんとカナダの宣教師の先生との幸運な出会いが戦中にあったこと 

      ・戦後、少年少女向けの作品に飢えていた日本の思春期層に たちまちにして浸透したこと

      ・日本の経済がアジアの他の国よりも一足先に伸びたので、出版文化が花開いた時期であったこと。

などなどの事情によるのではないかと思う。(「アンの魅力」については、いずれ別稿で詳しく試みるつもり。)

 

 

この旅で6回も訪れる幸運に恵まれた私は、「グリーン・ゲイブルス」(アンの家)で、韓国や中国の観光客が、次から次からやって来る大型バスから降りてくるのを眺めながら、「アン・フリーク」が、現在、アジアに増殖中!---であることを発見した!

 

果たして、北朝鮮の確執と和解(?)に揺れる韓国、世界の覇権国へと勢いを増しつつある中国が、終戦直後の経済が上向きつつあった日本で、私たちのように、のどかな気分で『アン』への陶酔に浸れる時期を持つことができるだろうか?

 

シャーロットタウンの図書館では、中国語、韓国語、ほかアジアのいろんな言語に訳された『赤毛のアン』のカバー写真を眺めることができた。(中国語に訳された本のカバー絵は、中国人っぽい顔と服のアンだった!)

 

韓国語版の挿絵はご覧のとおりファンタスティックり! いかがでしょう?