パレード・デー  8月19日(金)

 

今日はパレード・デーということで学校は休み。島中が休み。6月のアボリジナル・デー、7月の建国記念日、8月のパレード・デー、それに折々のソーシャル・デーと、何とイベントの多い島だろう。

学校の社会人仲間:のり子さん、ヒロミさんと9時半に待ち合わせ。

シャーロットタウンに向かって歩いていると、途中で1号のバスがやってきて、私の横でピタリと止まってくれた。親切にも乗せてくれるというのだ。今日は島をあげての祭りということで、バスはみ~んな無料だという。ありがたく乗せてもらう。

バスには すでに3人のお年寄りが乗っていた。1人は肥満で、もう1人は超肥満。あとの1人は後ろを向いていて分からない。

少し走ったのち、又、バスが止まって、さらに超肥満の2人を拾った。赤ん坊のようにヨチヨチと体を左右に揺すりながら「やっこらさ」と乗り込んできた。

こんなにたくさんの肥満・超肥満の人たちを見慣れてくると、何だかそれが標準の体形のように思われてくる。

これまで徐々に張り出してきた腹部を大いに気にして、引き締めるよう努力してきた私だが、この島に来てからは、いつの間にか その努力を怠っていることに気づく。

 

以前、アメリカで一番肥満度が高いと言われている州のTV報道があった。それによると、肥満度と人々の所得に関わりがあるということだった。

つまり、所得の低い人たちは腹持ちがするけれど 脂肪分の多いファストフードをよく食べる上に、運動をする暇もお金もあまりなく、それが肥満の原因となっているという。

金持ちはその逆ということ。

(しかし、この島がそれほど貧しいとは思われない。むしろ時間的にも精神的にも余裕を感じる。鈴木秀夫氏は「人間の体格は、赤道から離れるほどデカクなる」と、どこかで述べていた。しかし、肥満と大きいのとは、別だからなァ。

それじゃァ、肥満と気候風土と経済レベルのかかわりは? ----まあ、この疑問は、頭の片隅にとどめておいて、今日は「祭り」に集中だ! )

バスに拾ってもらったばかりに、パレードとは全くかかわりのない、こんなことを頭の中でグダグダ反芻してしまった。

 

        ************************

 

ダウンタウンで、待ち合わせていた「のり子さん&ヒロミさん」と、無事、落ち合った。

すでに多くの人たちが、手持ちの椅子を並べて座り込んでいたが、私たちは大劇場横のバルコニーに上がった。来賓席の近くでは、島のお役人さんたちが 立って談笑していた。

背広をパリッと着たお役人さんたちに混じって、市長さんの姿があった。彼は一目でアジア系だと分かる容姿で、いつものラフな赤いT-シャツ姿だ。

その姿は、お腹の張り出した ただの「横丁のおじさん」にしか見えない!

このスタイルで、島のあちこちのソーシャル・デー(例の無料のホットドッグとアイスクリームの提供日)に現れるので、すっかり私たち外国人にもおなじみだ。

多分、この中国系のリー市長(知事と言うべきかも?)が、何のガードも気負いもなく人々と交わっているというのは、ものすごく(あるいは例外的に)平和で平穏な状況といえるのだろうな。

島の最高位のポストにあるにもかかわらず、いかなる権威も威嚇をも必要としないのだから。

 

そんなことを、またしてもグダグダ考えていると、男たちの間から赤い制服を着た背の高い美しい女性がスーと現れた。

なんてカッコイイ!  「えーっ、宝塚か!?」

私たちはうっとりして、彼女に吸い寄せられて行った。

「写真を撮ってもいいですか?」「何のお仕事ですか?」

口々に尋ねる。彼女は正規のポリスだという。その素敵なポリスは、すこぶるの笑顔付きで一緒に写真に納まってくれた。で、一緒に撮った写真がコレ!

 

   

    パレードから抜け出してきた 仮装のポリスではありません

  

パレードは5キロを走ってきたというマラソン走者の登場から始まった。

乳母車を押しながら走るお母さんの姿もいくつかあった。その後からいろんな会社の人たちが思い思いの仮装をして車に乗ったり、歩いたりしてやってきた。

この島のあらゆる会社、組織、クラブが参加する祭典だったのだ。沿道のみんなは、顔見知りを見つけると、それぞれに声援を送っている。

島総出なのだろうが、何しろ人口14万人の島のこと、人出はまばらで、観客同士が押し合うことはない。日本の祭りを見慣れている目には、行列もゆったりとして、間延びしている。

青空の下、なんとも和やかな行進が展開していく。

そんな中でも圧巻はやはりスコットランドのミリタリー・タトウだろう。

やや哀愁を帯びたバグパイプの伴奏にのせて タータンチェックのユニフォームを着たスコティッシュ・オリジンの兵隊さんたちが、ヤンヤの喝采の中、勇ましくも誇らしげに行進し、私たちの目と耳を大いに楽しませてくれた。

「アン」はやはり、この島で一番の人気キャラクターだ。車に乗ったのや、馬車に乗ったのなど、可愛いのも、それなりのも----全部で3人もの「アン」が、行進していった。

 

いずれも、大きな仕掛けはない。その半数が車の上に仮装した子供や大人が 嬉しそうに乗って手を振っているだけ----といった、素朴で手作り感いっぱいの出し物だった。

急がず、慌てず、この島らしいのどかなパレードは、このような調子で 2時間近く 続いた。

 

パレードの終了後、のり子さん、ひろみさんと三人で、ベトナム料理店へ向かった。

今日は集合時間に縛られず、ゆったりと自分たちのペースで過ごすことができた。そして、明後日に旅立つ のり子さんと過ごした、貴重なひと時であった。

ランチ後は、私にとっては初めての港の方に向かい、その付近を見て回った。

 モーと一緒に

私の島の滞在も あと一週間。ますます離れがたい思いで一刻一刻を過ごしている。

『天国に一番近い島』というタイトルの本が かつて人気だったが(作者:森村桂さんは、残念なことに、その後自殺してしまった)、「このPEIこそ、その名にふさわしくない?」という私の問に、のり子さん、ヒロミさんは 迷うことなく同意してくれた。