キャロルの夜遊び、昼遊び、時々ボランティア
「夕食は5時だからね」と出がけに念を押された。「それに遅れたら、勝手に外で食べなさい!」
登校する私の後ろ姿に向かって、さらにキャロルの声が追いかけてくる。
授業は3時半に終わる。5時までに帰るためには4時半のバスに乗らなければならない。放課後、自由になる時間は約1時間。このような時間の制約は、今まで自分のペースで生きてきた私にはかなり窮屈だった。友達とおしゃべりしたり、シャーロットタウンの街を探索したり、公園や海岸まで足を延ばしたり、図書館や店に寄ったりしたいのに------。
季節は夏至の頃。北国の太陽は午後8時を過ぎてもギンギンに明るい。午後10時ごろまではテラスで本を読むことすらできる。それなのに「なんで5時なんだァ」------と、またしてもキャロル家のルールを呪う。
ケベックのアンが、こっそり教えてくれた。「夕食後、遊びに出かけたいからよ」と。
なるほど、その通りであった。キャロルは夕食後、そそくさと後片付けを済ませると、シャワー室に消える。ほどなく化粧と衣装を改めると、いそいそと車で出かけて行く。
午後7時から9時頃までは「お遊び」の第一ラウンド。その内容は日によって変わる。仲間とのおしゃべりは勿論のこと、カード・ゲームやビンゴ、誕生会、知人の結婚〇〇周年記念はじめ各種パーティー。時には競馬やギャンブルなどの一人遊びも-----。呼ばれもすれば、呼びもする。
そこでいったん帰宅して、お茶を飲みながらの休息。その後、第二ラウンドへと出かけていく。これからが「本番」なのだ。9時半から真夜中12時過ぎまでは ダンス会場へ。
昨年6月に伴侶を癌で亡くしシングルに戻った彼女は、現在「ボーイフレンド募集中なんだ」と言って張り切っている。
これは、冗談だと思っていたんだけど、どうやら本気らしいと次第に分かってきた。彼女の親しい友達で、やはり夫を亡くして未亡人だった女性が、この春、再婚したというのだ。日曜日にキャロルと同伴した教会で、そのカップルに紹介された。70歳を過ぎて新たなパートナーとの人生をスタートさせたご夫婦。その寄り添う姿の何とも初々しかったこと!
そうだった。ここは生涯「カップル社会」だったのだ。
(「羨ましいかって?」「いえいえ、ご苦労様デス!」)

