ジャージー島を去ってひと月余り。日々の生活に追われて、あれほど刺激に満ちた日々も、少しずつ過去の方へと追いやられていく。

 

最期に、印象深かったお二人の先生のことに触れて、この記録をいったんは閉じたいと思う。

 

Mandy先生

53歳にしてこの美貌とこのスタイル。そして、フルマラソンを2位で走りきるといったタフな体力&精神力。

 

先生は専門のコーチについて今なおRailway trackで、日々、激しいトレーニングを欠かさないというアスリートだ。そういえばトライアスローンもなさるということだった。

 

私の滞在中にも3度、フルマラソンに参加されていた。80kmの駅伝や、ガンジー島での遠征マラソンなど。真夏でも、この島では色々なマラソン行事が行われていた。

 

とにかく、この先生はタフなのだ。

フルマラソンの翌日にも、いつもと変わりなく、つまり筋肉痛だとか、疲労困憊などといったことは一切なく、フツーニ教壇に立っておられた。

 

若き日のタイでの経験、オーストラリアでのTV番組『ブラインドデート』出演の話、反抗期(後期?)の19歳の愛娘との日々の格闘の様子-----等々、いろいろな体験を語ってくださった。

 

ある朝、授業の始まる前、tea houseの前で、コーヒーカップを手に、ボーっと脱力した姿をお見かけしたことがあった。

 

先生が「教師は役者よ」と言われたことがあったが、その通りだ。「仕事モード」に入った時には、スイッチを切り替えることは誰にでもあること。クラスでのパワフルなお姿は「仕事用」で、私たちの前では「上機嫌」を演出してくださっていたのだ。

 

 

Alan先生

 英国の‘gentleman’というのはこのような人をいうのだろうな----と思わせられるようなお人柄だ。温厚で、知的、おまけにハンサム(!)なシニア。ウイットとユーモアに溢れた言葉が次々と飛び出す。

 

かつてイギリス空軍に所属しておられたというが、英語教師としても、文法や教授法をしっかり身に付けておいでだ。授業の展開の仕方も実に秩序立っており(well organaize)、私たちを学習に集中させるに充分な力をお持ちだった。

 

 

社会人のクラスは、折々、時事問題などで盛り上がり、レッスンの初めから終わりまで議論になってしまうことがあった。

 

なにしろ、学習者はドイツの某大学の副学長、世界をリサーチして回る保険会社員、ドイツのAmerican Air Forceで働く軍人、元ロシアの物理学者(失業中)、ドイツの図書館員、スイスの博士課程に籍を置く心理学者----とそれぞれに専門職に就く多彩な人たちだったから。

 

----というわけで、教師と学習者の熱い論戦が展開することもある。時事問題(トランプ政権、フランスの選挙、EU問題)、語学学習の問題、外来語の表記法、歴史etc.----しかし、先生は、いずれの話題にも豊富な知識で、余裕を持って対応しておられた。

 

おかげで、英語学習以上の充実した時間を過ごすことができた。意見を述べたいという強い思いが、何よりも英語の発話を促す-----というありがたい体験をした。

 

頭の中で英文を練る前に、私の何か言いたそうな表情をくみ取って、いつも、先生は辛抱強く、私の発言を促してくださった。

 

そんな先生方に、そして、クラスメートに心から感謝。

 

 

時折、記憶の底から、再び記しておきたい何かが出てきそうだが、ここで、いったんJersey Islandsの記録を閉じることにする。

 

続いて、昨年の『プリンス・エドワード島の巻』、そして次回の『マルタ島の巻』を記していきたい。