サーク島の某レストラン

 

さて、そろそろランチ・タイム。花と緑の綺麗な門をくぐって、レストランらしき庭に行き着く。それまで ほとんど一人で、静かな夏の田舎道をぶらぶら歩いてきた私にとって、そこににぎやかに集う観光客たちは、突然現れた華やかな世界の住人たちのようにまぶしく映る。

 

こんな所に こんなに沢山 人がいたんだ。

 

この人たちは、あまり動き回ることなく、一か所にたむろして、のんびり休暇を過ごしているのだろう。それとも、数日前から滞在していて、ひと通り、島の観光は済んでいて、あとは ここでこんな風に 仲間とのおしゃべりを楽しんで過ごしているのかも。

 

メニューと睨めっこする私の横を、大きなロブスターを盛ったお皿がどんどん運ばれていく。

 

ムムム---、「本日のお薦め:ロブスター・ランチ £28」

 

とある。皆さん リッチなんだ! 私はささやかに 野菜スープとガーリック・ブレッド、それにスコーンとハーブ・ティを注文。

 

ウエーターさんは愛想のいい若者だった。私の頭の中には、まだ、先ほどの「島で暮らすにゃ 寂しゅうてならぬ~」が鳴り響いていたので、ちょっと気になって 彼に尋ねてみた。

 

「この島育ち(islander)なの?」

「いいえ、夏だけ、ここでバイトしてます。9月の終わりには家に帰ります」

 

ということだった。わずか1時間くらい島を歩いただけなのだが、畑も休耕地、というより草野原がほとんどで、とても農業が盛んだとは思われない。工場は一つも見かけなかった。2回、トラクターがコトコト道を走っていたのを見かけたくらいで、ほかに野良で働く人は見かけなかった。「みんな、何で暮らしを立てているのだろう---?」。

 

---などと(自分には かかわりのないことだけど)、ちょっと気にかかった。とりあえず勘定を済ませて、午後の探索を開始する。

 

どの通りも車が走っていないだけに、広々と感じられる。舗装されてはいないが、乾燥した夏の日中にもほこりがたたない。道の両脇の緑が美しい。花は野ばらとアジサイが多い。

 

グングン進むと、時おり 遠くから野太い歓声が、風に乗って聞こえてくる。

「何ごと?」

と思ってさらに行くと、立派な木造の建物に行きあたった。標識には「Community School」とある。600人の島の学校にしては立派だ。おそらく小・中・高校の教育機関のほかに、村のあらゆる会議や集会場でもあるのだろう。

 

当面のところ、学校は夏季休暇のためか、建物は旅行者用の宿泊施設とCaffeeとなっていた。歓声はその横のグランドから聞こえてきたのだ。

 

クリケットの試合に興じる男たちの白いユニフォーム緑に映えていた。クリケット! あのイギリス連邦の間にだけ、今も大人気のスポーツ。(じっくり観察しても、なかなかそのルールが呑み込めないやつ。)

 

ここもイギリス圏なのだなァ---と、改めて認識しなおす。(つづく)