#795『色弱検査』
これは私が19歳の春休みに体験した話である。
私の目の前に立ったスーツの男が、おもむろに手にしていた本を開き尋ねてきた。
「ここにはどんな数字が書かれていますか?」
ちょっと待て、数字なんてどこにも書かれていない。
ここは、ノリで適当な数字を答えるべきか?
と、怪訝な顔をしていると、今度は懐から数枚のカードを取り出し、私の前に並べ出した。
そして今度はこう尋ねてきた。
「赤いカードはどれですか?」
バカにするな!と言いかけたがその言葉を飲み込み、おとなしく赤いカードを指さした。
緑、黄と何度か繰り返すと彼は満足そうに私の前から去っていった。
彼には私が色の判別もつかない子どもに見えたのだろうか?
放送作家 戸武来酢
ウノプロダクション株式会社
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放送作家育成プロジェクト2008~2015(事務所&全実践)
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