#491『警官アパート』 | 放送作家集団『ストレンジャー』ブログ by ウノプロダクション

#491『警官アパート』

これは僕が放送作家になる為、上京してすぐの頃の話。

 

とにもかくにも、まず住む所を探さなくてはならない。

僕は新潟県の田舎出身で
、家族からは「東京は恐い所だから気を付けなさい」と何度も言われていた。

 

所属する事務所の勧めもあり、中野に住むことを決めた。

そしてすぐに、地域密着型、懇切丁寧なサービスで
評判の「松崎ハウジング」へ物件探しを依頼。

まずは店内で希望条件を聞かれた。

「僕は田舎育ちなので、都会暮らしが怖いです。
とびっきり安全な所がいいですね」

と答えた。

担当者は少し考え、

「おすすめの物件がございます。
中野で一番安全なアパートです」と笑顔で答えた。

とりあえず実際に見てみたかったので、担当者と共にその物件に向かった。

 

…ごくごく普通のアパートだった。

「何処が安全なんですか?」

「住んで頂ければ分かります」

なかなか挑戦的な担当者だった。なぜこの物件が安全かを話そうとしない。

それでも僕はこのアパートに住む事を決めた。

 

それから数日後、僕は朝、ゴミを捨てに出た。

ゴミ捨て場は、僕の住むアパートの向かいにある白い団地の前。

僕がゴミを置き家に帰ろうとする時、その白い団地から住民が出てきた。

身長180センチ以上、筋骨隆々。

そして青い制服を着込み、金の刺繍がついた帽子を被っていた。

そう、警察官だったのだ。

聞けばこの白い団地は、住民約50人が全員警察官だというのだ。

 

なるほど、確かに安全だ。

何かあれば、110番に電話するよりも、

窓を開けて「助けてください!」と叫んだほうが早い。

50人の屈強な警察官がすぐさま駆けつけてくれる。

 

住み始めて3年になるが、引越しする気にはならない。

当分の間僕はこの「中野一安全なアパート」に住み続けるつもりです。

 

放送作家 写六家

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