#50 『忘れ物』
まさにスマホの充電だ。
気が付けばお外。バッテリーの残量が限りなくゼロだというのに、
時間に遅れまいと、足をパタパタ駅へと向かう。
「焦り」と「苛立ち」を脇の下に挟みこみながら、無情にも始まる仕事。
そして、そんな時に限って着信音は鳴り止まない。
「もう、バッテリーがアレなんで」
くどいくらいに「やり取り」をこなすと、次の瞬間、
「それみたことか」と言わんばかり、無音の世界へと放り出されるのだ。
・・・。
ただ、そうなって初めて分かるモノがあった。
「自由の意味」
社会への体裁。仕事のプレッシャー。群集心理。
そんな理屈じみた「しがらみ」から解放されたのだ。
自由とは何だ?今なら、そんな流行歌の押し問答に終止符が打てる。
スタート地点に逆走するような、痛快な気分が沸き起こる。
そして、何もコレは、スマホに限った話ではない。
例えば、ベースボール。
大舞台のマウンドで、ガチガチに緊張したピッチャーとしよう。
忘れるものは、勿論「投球フォーム」などというチープな奴では無い。
ピッチャーは・・・、そうだ、メガネを忘れる。
キャッチャーのサインなど、知ったことか。
ストライクゾーンなど、あって無いようなものだ。
確かに選手としては最悪。
だが、自由でいったら完全試合である。
雨の日は傘を忘れ、夜空の星に願いを忘れ、
「なまはげ」は衣装を忘れて、ただの「おじさん」なのだ。
そして私は・・・、話のオチを忘れよう。
放送作家 半袖五組
ウノプロダクション株式会社
放送作家集団ストレンジャー
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放送作家育成プロジェクト2008~2015(事務所&全実践)
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