動画配信の有料課金モデルのこれまで
私自身も2000年くらいからインターネット上での動画配信には関わっていて、
大体もう5年以上は業界の動向は眺めているのですが、ここに来て急に動画配信
の広告モデルが盛り上がってきている気配を感じています。
これは、やはりGYAOの急速な拡大によるイメージが大きいと思います。
日本国内がまだナローバンドで、しかもプロバイダに接続するための電話料金
が定額制ではなく従量制だったころは、まだ日本はインターネット後進国で、
ビジネスモデル自体もアメリカが先行していました。
そのころは、インターネットで動画配信を見る人自体が少なく、まだビジネス
として成立する視聴者側の母集団が確保できない状況でしたから、現在のテレビ
のような広告モデル成立させるには対象母集団も小さすぎたため、広告を出す側
のメリットが出せず、なかなか成立しにくいビジネスモデルでした。
そのため、収益源として広告主を探すスタイルではなく、
「実際にその動画を見ることに満足する人」
から直接お金をとる、有料課金モデルのほうが有効と思われていて、その流れ
で試行されたサイトが様々出てきました。
アメリカの例でいくと代表的なものは、
RealNetworks 社の「RealOne Super Pass」
というサービスです。現在は単にSuperPassとなっているようですが。
これは、月10ドル(約千円強)でほとんどのものが見放題になる、どちらかと
いえばケーブルテレビ型のビジネスモデルでした。
ただ、月10ドルを払うユーザーを何万人も集めるためには、それなりの優良
コンテンツかき集めてこなければなりません。そのために、RealNetworks社は
CNNのインターネット上の独占放送権や、MLBの独占音声ライブ配信権
などを手に入れてサイトの魅力を高める努力をしてきました。
これはこれで今もつづいていますので、それなりにはうまくいったモデルだ
とおもいます。
実際には、合意書類にちゃんと目を通さなかったために、RealPlayer をダウン
ロードしたときに時に入れたクレジットカード番号から、知らないうちに毎月
引き落とされている人も常に相当数いて、苦情も多かったと記憶しています。
一方、日本の代表的な例が「トレソーラ」です。
http://www.tresola.com/
2002年の立ち上げ時は、ブロードバンドが急速に立ち上がってくるところで、
しかも、TBS・フジテレビ・テレビ朝日という民放の3社が組んで行う事業
ということで、華々しくスタートしたのですが、結果はあまり華々しく報道は
されていませんので、推して知るべしといった感じでしょうか。
その他、日本国内では、各プロバイダがそれぞれコンテンツを集めて、課金を
行うようなモデルでサービスを行っていますが、それらもどこも似たような
コンテンツを流していますので、大成功したというほどのところは現れていない
と思います。
有料課金のモデルが爆発的にヒットしていない要因には様々な原因が考えられま
すが、主たる要因として、有料課金というモデルでは、
「目に見えないコンテンツを見る権利」
を誰とも対面せずに買うという形になりますが、これにはまだまだ心理的な壁が
大きいと考えるのが妥当ではないかとおもいます。
ユーザー側がお金を出さないとなると、やはり広告に戻るわけです。
有料課金モデルをやって、いろいろと試行錯誤をしているうちに、インフラも
整備されてきて、広告のターゲットとなりうる母集団が増えてきたので、
ここに来てやっと動画配信の広告モデルというのが実践されてくるように
なっています。
ここ当面は、動画配信の広告によるビジネスモデルが試行されて、淘汰されて
いくことになるようですね。