誉田哲也さんの「ドンナビアンカ」を読ませていただきました。
これは女刑事魚住久江恋愛捜査シリーズで
「ドルチェ」に続く2作目です。
誉田さんの作品だと、ストロベリーナイトの姫川玲子さんのような
スリル満点の刑事ものが多いんですが
このシリーズはあまり血みどろ殺人事件という感じではなく
人生についてのはかなさとかを描いた作品シリーズになってます。
誉田さんの作品ではプロローグがどこにつながっていくのかが
面白いんですけど
この作品も、主人公がいきなり死にそう?で
死ぬの?どうなの?とちょっとドキドキしました(笑)
お話はというと。
酒販会社に勤める村瀬は、卸先のキャバ嬢で中国人の瑤子のことが気になっている。
瑤子は、実は飲食チェーン役員の副島の愛人で。
ある時、村瀬の瑤子への気持ちを知った副島から
瑤子との偽装結婚を持ち掛けられた村瀬。
形だけの結婚をするんだけど、次第にひかれあっていく二人。
副島に偽装結婚をばらすと脅され、狂言誘拐を手伝うはめになる村瀬。
でも誘拐なんて、行き当たりばったりでは
そうそううまく進まない。
追い詰められていく村瀬たち。
次第に事件の真相が暴露されていくんだけど
瑤子を思う村瀬はどうなってしまうのか?
といった感じですかね。
作品は村瀬が語る瑤子と知り合って誘拐にいたるまでの経緯というか回想のパートと
実際に誘拐が起こってからの捜査員側のパートとで
進んでいきます。
村瀬の回想は事件の動機につながる部分なので読みごたえ満点。
物語の主軸になっていて
村瀬の心の揺れ動きがせつないです。
さすがに日本の警察の捜査力なめちゃいけないですね。
どんどん追い詰められちゃうんだもん、この犯人。
しかも計画的じゃないから、余計にね。
すごいトリックなんてないし。
どんでん返しもないけど。
村瀬、決して悪い人間じゃないし。
瑤子もたまたま悪い日本人につかまっただけで
根はまじめなわけで。
そんな二人なんだから、もっと違う出会い方とか
偽装じゃない結婚してたら、こんなことにならなかったのにねと
思わずにおれないですね。
村瀬と瑤子のところだけ読めば純愛じゃん!って感じだもん。
なのに、この結末はなあ。
なんか読み終わった後、夕日見たくなった(笑)
山下真司さんに「あの夕日に向かって走れ!」とかいってほしい。
この魚住さんシリーズは、姫川さんのように
魚住さんが犯人を追いつめたりすることはあまりないです。
捜査員としても下っ端のほうだし。
ただ、通り一遍の捜査じゃなくて
人の心の奥を見ながら、切り崩していくところは
女性捜査員ならでは、魚住ならではなんだけど
ま、正直、それなくても物語は十分成立してしまいそうではありますね(笑)
あんまり血みどろの殺人は、ちょっと・・・って方に
おススメのシリーズです。