橋本紡さんの「イルミネーション・キス」を読ませていただきました。



橋本さんの作品も初めて読んだんですが

はあ~、いいな~、こういうの(笑)

心がほっとしました。


毎回のことですが、特に作者への予備知識なく。

その本を手にしたきっかけは、ただ「本の表紙が綺麗だな」ってレベル。

目に留まった表紙が優しい感じで気に入りました。



お話はキスに関するお話を収録した短編集。

ファンタジーの世界なんだろうけど

私はお話の一つ一つがリアルで身近に感じました。

でも読み終わった時に、心がとても癒されます。



私は一番始めの「フレンズ・キス」が好きです。

主人公美穂の回想シーンから始まるお話で

美穂が、かつてご近所に住む幼馴染のハルとの思い出を語るスタイル。

ハルは週末に一緒に海外ドラマを見るだけの仲だったけど

ふとしたキスがきっかけでそういう関係になる。

でもはっきりと恋人といえるほど甘いわけでもなく。

でも、お互いがとても必要な関係で。

高校時代の、毎日の生活に不満があるわけじゃないんだけどどこか不安で

その不安定な、気持ちのささくれの部分を埋めてくれるのが

お互いの存在だったわけなんだけど。

そのあたりの表現というか描写がとてもグッときます。


ラストシーンで、ハルを思い出しながら

今でもどこかでハルを求めてるんだろう美穂がちょっと切なくて

ハルとの関係を「恋だったのか、違ったのか」と自分に問いかけるところは

片思いしてた自分をいろいろと思い出させてくれ

恋じゃなかったかもしれないけど、必要なものだったんだよと

美穂にいってあげたくなりました。

ミスチルのイノセントワールドがBGMでかかってましたね(笑)

こういうの、大好きです。ビバ青春ですよ。



他にも出世街道にいたのに育休をとって

子育てするサラリーマンを描いた「ハウスハズバンド・キス」や

不器用に生きる二人がかわずキスを描いた「イルミネーション・キス」など

どのお話も、不器用に生きながらも自分で充実させていく心の隆起のありようが

素敵に描かれています。



心を満足させて生きるって難しいですよね。

でもこの作品に出てくる主人公は、心をとても充足させています。

それがとてもうらやましい。



汚い大人にならず、まっとうに生きたい

と、青臭いことを思ってしまいました(笑)


他の作品もぜひ読ませていただきたいですね。