小川糸さんの「つるかめ助産院」を読ませていただきました。


小川さんの作品も、これが初めてでございます。

友人に「かたつむり食堂」が面白いと勧められたのですが

そっちは図書館になくて。

先にこちらを手に取ってみました。



ネタバレです。

ある日突然、夫である小野寺君が出て行ってしまい途方に暮れる主人公まりあが

小野寺君といったことのある南の島にふらっと訪れる。

その南の島で妊娠していることがわかるんだけど

小野寺君のいない部屋に戻ることができず

南の島で出会った助産師の鶴田亀子さんに救いを求めるように

そこでの出産を決意する主人公のお話で。



まりあは乳児のころに捨てられてずっと養護施設で過ごしていた過去があり

里親との関係も正直うまくいっていず。

小野寺君(旦那)も突然失踪してしまう。

助産院の鶴田亀子こと亀子さんも、やっぱり心に傷がある人で。

南の島にきて助産院を始めたくだりも大変さがわかる。

助産院のスタッフのパクチー嬢やサミーも長老も

みんななにかしらの心の傷があって。

でも豊かな自然の中の南の島で、必死に生きてるのが伝わってくる。


伝わっては来るんだけど。

でも南の島の住人ってそんなに心に傷がある人ばかりなの?と疑問に思う。

逆に、探せば、人間だれしも多少なりとの傷、ありますよね?

私だってまったくなにもないとは言えない。

あるけど、日常生活できないくらいの傷じゃないだけで。

だからそんなに傷ついた人の集団ですアピールしなくてもよかったのでは?と。

しかも、心に傷があるという割に

その辺の描写というか説明というか背景については

まりあ以外のそれについて恐ろしいくらいさらっと流されてます。

傷がある事実だけ、書かれてて。



ま、全体的に読みやすい文章だし。

南国の食べ物の描写とかお腹空くくらいうまいし。

出産のシーンも、まあ助産院が舞台だからね、あるよね。



でも、全体を通じて、この島に来て、助産院での出会いを通じて

主人公のまりあって何が変わったの?って不思議に思うの。

妊娠が分かって母になるためにここに残ったのって

環境のいい、南の島の頼れる人のいる助産院で子供を出産することもあったと思うけど

精神的に成長するためもあったと思うのよ。

なのに、まりあの人間性がちっとも分からない。

ただ単に旦那失踪して、里親とも仲たがいしてて頼れない自宅じゃなくて

面倒みてくれそうな亀子さんのとこで生もう!って打算じゃないの?と

思えるくらい、周りに頼りっぱなしで。

もうちょっと、臨月に近くなるにつれて、絶対に変化してくであろう

まりあの内面の変化とか心の動きを描いてほしかったかな。



それと。

ラスト。私、ページ飛ばしちゃった?????って思うくらい

突然小野寺君が島に現れます。帰ってきます。

でもなんで失踪したのか、まりあの何がだめだったのか?

どうしてこの島にまりあがいるのが分かったのか?

まりあとの今後を考えているのか?

などなど、一切についてスルーされていて

すごく消化不良。

私がまりあだったら、帰って来てくれたことも喜ぶけど

でもいなくなったことも責めるし、なんでいなくなったのか理由くらい聞きます。

そしてふたりでこの生まれた子供を育てていく気があるのか?とかも確認します。

なのにまったく聞きもしない。おかしいよね?

なんでそこの描写まったくなく、

「あー無事に生まれてくれてありがとう」でしめくくるのか。

いやいやいや。

続編あるならわかるけど。これ、ある意味暴挙です。

それとも小野寺君がいなくなった理由は

まりあの言動から読んで推し量れというのでしょうか。





あくまで個人的な意見なので、個人的な感想なんですが。

南の島の情景とか、読みやすい文章でくいくい読めただけに

ラストはもちろん全体的なストーリーに、ど素人の私でさえ

疑問を感じずにはおれなかった。

まるで、エヴァンゲリオンの最後「みんな友達」とかわけわかんない事いって終わる

あの感じのようで

なんだかなーと思ってしまいました。



これ、仲里依紗ちゃん主演でドラマ化してます。

ほんのちょこっとドラマみましたが

ドラマのほうがよかった気がします。