私の車は

季節を教えてくれる。


車に乗っていると

あまり季節の変わり目を

身をもって感じられることが

だんだんと少なくなってくる。


夏は冷房。

冬は暖房。


日差しの強弱によって

少しずつ、感じるくらい。


たまには、歩いて。

身近な季節を知りたいという

欲求がたまるのだけど。




会社の帰り道。

「ぽん」

軽くて柔らかい音がなった。


「何かなった?」

ふとメーター周りを見渡す。


点滅している外気温度計。

温度は「3℃」


ああ、もうそんな季節になったんだね。

急激に寒さと冬の訪れに思いを馳せ

一年ぶりに聞いた音に

微笑んでしまう。


寒い国の車だから。

路面が凍結し始めるちょっと前。

「3℃」。


「これから路面が凍結してきますよ

注意してくださいね・・・」


彼女が、私に

こそこそっとに教えてくれるのだ。


ふふっと

内緒話をするように。

そして得意げに。

軽やかに高くて柔らかい音で。


こういったちょっとしたひとつひとつが

私と彼女との距離を縮めてくれている。

なんて、近しいんだろう。


ちょっと贅沢で。

少しわがままで。

でもとっても心配性で。

たまにはご機嫌斜めで

すねてしまったりするけれど。


そんなやり取りをできる瞬間。

それが特別な一瞬になる。


今日も3℃の報告はあるのかしら・・・