帚木 蓬生
薔薇窓

大好きな作家の一人「帚木蓬生(ははらぎほうせい)」。

この人も変わった経歴の持ち主。


福岡県小郡市生まれ。

東京大学文学部仏文科卒、九州大学医学部卒。

TBS勤務。退職後に、医学を学び精神科医に。

その傍ら小説を執筆。八幡厚生病院診療部長を務める。



精神科医らしい、するどい人間描写。

正常と狂気の間の境界線って

いったいどこにあるんだろう。

そういった疑問を常に感じる私にとって

この作者の作品に惹かれる所以なのかもしれない。



本業は医者。

傍らに小説を書いている。

何かにとり憑かれたような人物描写。


何かに憑かれるという表現だったら

京極夏彦。

彼も私の好きな作家の一人だけど

帚木蓬生とまた、ジャンルが違ってくる。


帚木の「薔薇窓」においては、

犯罪心理というのか

人の異常さを冷静にみつめ

病気として診断し

犯人を特定していく。

そして、裁きをするのは公。

警察に捕まって、公の裁きに委ねる。


一方、京極本といわれる

「姑獲鳥の夏」から連なる一連の小説は

怪現象を暴き、妖怪の名前にその異常さを落とし込んで

憑き物落としをする。

私人が、探偵にたのんで私的裁きをする。


アプローチの違い、根本的な作風の違いはあるのだけど

両者とも、人間の心理、そして異常さは決して

特別のものではない

身近に転がっているといっているようにも感じる。



話は脇にそれてしまったので

「薔薇窓」に戻す。


舞台はパリ博覧会。

主人公は、警察付きの精神科医。

保護された人たちを診断して

どこに送るのかを判断する仕事をしている。


その仕事の折、出会った一人の少女。

「おとやっこ」という日本人女性。

彼女は、何か精神的につらい目にあったのか

はだしで町を歩いているところを保護される。


そして、万博で盛り上がるパリ市内で起こる

連続女性誘拐事件。


精神科医という立場から

その事件の謎解きに、力を貸していく。


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犯罪に手を染める、染めないは別にして

どこか、変わった性癖や趣味というものを

もしかしたら誰もが持っているのかもしれない。

それに気づいていないだけで。


正常と異常、その境界線を

人は理性で超えずにいる。

その理性で歯止めが利かなくなってしまったら・・・

人ってどうなってしまうんだろうね。