何かを失った瞬間、必ず何かを得ている
という言葉は真理だ。
けれど今は、喪失後の胸の痛みが勝っている。
自ら手放したというのに、これだ。
失ったことを実感したときに襲ってくる痛み。
人間の脳は変化を恐れる。
現状維持の方向に働く。
だから、胸が痛くなる。
手放すことがプラスに働くと理解している。
ずっとずっと考えてきたことで
何度も何度も望んできたことなのだから
自らの決断を後悔はしていない。
けれど、胸は痛い。
諸行無常。
理解していても、感情は別物だ。
理解も感情も、同じ脳による働きだというのに。
ちゃんとキッパリ手放した。
今度こそケジメがつけられた。
思い出は記憶の底に沈んでゆくだろう。
その準備はずっと前から進んでいた。
記憶の中での相貌失認。
あり得ないことが起こっていた。
感情的な言動。
人格否定発言。
全否定の言葉。
足に残る炎症後色素沈着 。
傷つけられた記憶を掘り起こしてみればいい。
すべてを赦したことで感情はフラットになった。
だからもう、終わり。
さようなら。