朝から雨。

気持ちイイくらいの降り方。

ザーザーという雨音には情緒があると思えなくもないが

雨音とくれば…ショパンの調べ?

いや、違うな。

 

ふと、三好達治の『大阿蘇』が思い浮かぶ。

「雨は降つてゐる 蕭々と降つてゐる」

そう、この雨の降り方がマイベスト。

 

この詩と出会ったのは小学校高学年の頃だった。

詩人たちの有名な詩を集めた詩集の中に、この詩はあった。

その詩の中に、見たこともない雄大な情景を見て

草千里ヶ浜に行ってみたいと思ったのは、40年以上も前のこと。

草千里ヶ浜と阿蘇山のある熊本県に憧れていた、あの頃。

父に詩のコピーを頼んだ記憶も鮮明に残っている。

 

そうか!

いつか熊本県に行きたいと幼心に切望し

心の片隅で思い続けてきたからこそ、彼らと出会ったのだ!

熊本県出身の彼らとの縁は、自らが引き寄せたものだった。

なるほど、そういうことだったのか。

望まぬ形ではあったけれど、確実に願いが叶えられる方向に進んできた。

ということは、この願いを手放した時に、先輩との縁は切れるのか?

う~む。

ま、なるようになるだろう、と思うから考えない。

 

雨の日の朝は、潜在意識の凄さを実感した朝でもあった。

こんな雨の日も良いかも?

 

もしも百年が この一瞬の間にたつたとしても 何の不思議もないだらう
雨が降つてゐる 雨が降つてゐる
雨は蕭々と降つてゐる 

 

私は、行く。

誰かに連れて行ってもらうのではなく

何かのついでではなく

ただ単に、わざわざ、草千里ヶ浜に、行く。

そして、亡父と一緒に雄大な景色を眺めて

感動に身を震わせながら『大阿蘇』をそらんじるのだ。

 

お父さん、ありがとう。

いろんな世界を見せてくれて、ありがとう。

一緒に飲みながら、本の感想を伝え合いたかったなぁ。

15歳の秋からずっと、心の一部が欠けたままだよ。

 

それでも、眼前に広がる世界はいつも美しくて優しい。

みんなのおかげで生きられていることを、実感する日々。

 

お父さんが植えてくれた種は、ちゃんと発芽して成長し続けているよ。

ありがとう、ありがとうございます。

 

普通じゃない経験の数だけ、辛苦を味わってきたけれど

そのおかげで、なかなかに個性的な私が形成されたみたい。

私は、今の私が大好き。

毎日少しずつ、自分好き度が増している。

こんなに幸せなことはないと思えるのも、みんなのおかげ。

あーーーーー、ほんっとに幸せ!

 

なにもない、という現状は、すべてを持っているということだと思う。

ありがとうございます!