圭の墓の花を見るとひどく枯れていて、一年前に自分が供えた花のままであることがわかる。

 駅前で買った花を差し、水をかけて、目を閉じる。

「まあ、堅苦しいのはここまで。お弁当食べようぜ」

 カバンの中から弁当を取り出し、開けてみるといつもの圭の好きな食べ物が詰まった、特製の弁当だった。

「ほら、母さんの玉子焼きだぞ」

 語らぬ石に話しかけながらお弁当を食べる、これが8年前の俺が始めた誕生会の代わりの会。

 小学校一年生になる時に死んだ圭の夢だった、運動会のお弁当。母親が作りたかったお弁当。食べることができなかったお弁当。

 その願いをかなえる為の、大切な日が命の日だった。

「相変わらず食べるの早いな…」

 俺は小さな弁当箱に入った全てを残さず食べ、水筒に入ったお茶をゆっくりと口にした。


「昼食も摂ったし、俺の話聞いてくれるか?」

 俺は受験のこと、大学のこと、バイトをやめたこと、まだ彼女がいないこと、一年間に感じた全てを、圭の耳に向けて話した。