気が付くと、このブログの前回の記事を書いたのが2012年9月、およそ5年ぶりのブログになります。

 

 この5年の時の流れの中で、数多くの撮影会が出来てきました。

 個人撮影オンリーの撮影団体を果たして撮影会と呼んで良いのかは議論の余地があるとは思いますが、とりあえず長年撮影会業界に携わっているものの一人として、撮影会の現状と傾向を分析しておきたいと思います。

 

 また、撮影会モデルを始めてみたい、始めた以上は人気モデルになりたい、と考えている女の子にも一度お読みいただければ、何らかのヒントは転がっていると思いますので、モデル活動の一助となれば幸いです。

 

 まず、撮影会とはそもそも何ぞや、ということから整理しておかないといけません。撮影会とは、①カメラマンさんが支払う参加費、②モデルさんがもらうギャラ、③その①②の間に入る主催者の取り分、の単純な足し算引き算で成り立っているものです。
 モデルさんのギャラを②とすると、①-③=②となります。
 もしモデルさんが④プロダクションと契約しているならばその取り分が差し引かれて、①-③-④=②となります。

 当然、プロダクションに所属せず撮影会と直接仕事をした方が、ギャラは多くもらえる可能性が高くなります。

 もちろん、プロダクションに所属していた方が、他のさまざまな活動を通じて、カメラマンさんに興味をもってもらいやすくなり、予約も入りやすくなる可能性はありますから一長一短ではあるのですが、撮影会だけしか仕事が無い、といったプロダクションであれば、所属しない方が賢明であるとはいえると思います。プロダクションに所属していなくても出演可能な撮影会はいくらでもあるということは知っておいて損は無いでしょう。

 

 次に、カメラマンさんの傾向と心理というものを把握しておくことは重要です。女の子を撮影するのにお金を払うわけです。それなりの覚悟が要ります。もちろん昨今のカメラの低価格化、軽量化でカメラマンさんの数は増え続けていますが、ただむやみに撮影会をやります、と宣伝をしたところで、需要と供給がマッチしなければ、予約は入りません。

 そこで、カメラマンさんの心理と傾向を3つに分けて、円グラフを作ってみました。下のグラフ↓がそれです。


 カメラマンさんが撮影会に行こうと思う動機として、日程が合うかどうか、料金が適正かどうか、というのは大前提であるとして、他に3つの要素を考えてみました。

 

 まず、モデルさんが誰か、ということ。

なんだ、それがすべてじゃないか、と思われるかもしれませんが、実はそうでもないのです。

 モデルさんはみんな可愛くてきれいです。それぞれに魅力があります。どのモデルさんを撮ろうか、どこの撮影会に行こうか、とカメラマンさんが迷う場合は多々あるだろうと思います。

 実際に、同じ日に撮影会を3つ掛け持ちした、といった話も聞きますし、いちごはうすでも土日はA枠とB枠の2人のモデルさんを撮影する、といったカメラマンさんもいらっしゃいます。

 つまり、多くのカメラマンさんはいろいろなモデルさんを撮ってみたいのです。モデルさんが誰か、というのは確かに優先順位は高いかもしれませんが、絶対ではないということです。

 

 次の要素として衣装に注目してみました。ここでの衣装というのは、主として水着を中心に考えています。

 たとえば、秋葉原で行われている大規模なスタジオ撮影会の場合、私服やコスプレで登場する時と水着で登場する時では、集まるカメラマンさんの人数に明らかに差がある、というのはよく耳にするところです。

 つまりモデル・背景が同じであれば、水着の方が集客効果があるわけです。

 

 そして3つ目の要素として、背景という言葉を選びました。

 これは、スタジオがおしゃれ、とか屋外で特殊なロケーション(たとえば川とか海、ひまわり畑)といった、人物の後ろに写り込むものが何か、を指します。

 モデル・衣装が同じ条件なら、いつもとは違った背景で撮りたいと思うのはカメラマンさんの自然な感情です。

 実際SNSなどで公開される画像を見ると、この背景に重きを置いた写真が意外と多いのに気づきます。

 

 モデルさんの立場からするとどうでしょう。

 私はどうしてもモデルさんの懐具合を気にしてしまいますので、毎回違った服を用意しなければならない屋外の撮影、所有衣装の少ないスタジオでの撮影は、結局モデルさんに大きな負担がかかり継続が難しいのかな、と考えます。

 いちごはうすの場合、5年10年と長く続けているモデルさんが意外と多いのは、スタジオ衣装の豊富さも理由のひとつかな、と思うことがあります。

 

 この3要素のどこに重点をおくかでカメラマンさんの傾向がわかります。カメラを趣味とする活動の中で、この円の中をグルグルと動くのだとは思いますが、モデルさん自身も自分がどのあたりにいるのかが整理できていると、余計な迷いが無くなるのかな、と思います。

 

 もちろんモデルさん重視のカメラマンさんがついてくれれば、モデルさんにとっては、どの撮影会に出ても、私服でも水着でも屋内でも屋外でも予約が入るので、それは充実感はあるでしょう。

 しかし、1対1で空間・時間を共有する時間が長くなってしまうと、もはやポートレートでは無く、「ポートデート」モデルになってしまい、キャバクラの同伴と割り切るくらいの度量が必要になってきます。

 

 やはり予約してくれるカメラマンさんは「薄く広く」が健全なカタチなわけで、1対1の個人撮影の企画ばかりだと、1時間に1万円近くを払えるカメラマンさんの数には限りがあり、最初は良くても継続するのはたやすいことではありません。だからこそ、1時間で4000円前後の、いちごはうすのような少人数撮影会を運営する意義があるのかな、と考えている次第です。

 

 次にまた図に書き加えたもの↓をご覧ください。

 「モデル」と「衣装」の間に「アイドル」というワードを入れてみました。ここはカメラマンさんの動機からすれば、「〇〇ちゃんが撮影会もするなら行くよ~」という、カメラマンの意識よりファンの意識が高くなるパターンです。

 理想としては、撮影会を通して“カメラマンさんのファン”が出来ることなのですが、現実はメイド喫茶や地下アイドル、レースクィーンなどの活動から、ひいきにしてくれる人を撮影会に引っ張ってきているのケースが多いのかな、という気もします。

 もちろんこれらの活動が出来る時間的余裕があるのであれば、この作戦にも一考の余地はあるのかもしれません。

 次の図はこちら↓です。

「モデル」と「背景」の間には「ポートレート」というワードが適切かな、と感じます。

 モデルを始めるうえで、いちばん取っかかりやすいのが、このジャンルであろうと思います。

 ただ、よく考えてみると、もしSNSのハッシュタグで、“#カメラマン募集”“被写体”などと書いておけば、撮影会に登録することなく、撮影モデルとして活動も出来るのではないのかな、と思うことがあります。

 

 いちごはうすの場合はいちごはうすに登録していても、こうしたフリーの活動も認めています。リスクが全く無いとは言いませんが、モデルさんが少しでも収入になるのなら、こちらとしても喜ばしいことなので、同様に他の撮影会もどんどん参加して構わないのです。

 

次の図はこちら↓です。


 「衣装」と「背景」を重視するというのは、この円でみると、「モデル」から一番遠くなる、極端な言い方をすれば、モデルさんは誰でもよいから、「この衣装で」「この背景で」ぜひ撮りたいというジャンルです。
 衣装と背景を重視する組み合わせでコスプレという言葉を入れてみました。
 コスプレはコスプレイヤーさんと言い換えてもよい、実はモデルさんとコスプレイヤーさんは対極の位置関係になるのかな、ということです。
 これは、モデルさんの活動はお金をもらう仕事であるのに対して、コスプレイヤーさんの活動はお金を払う趣味である、と考えれば説明がつきます。
 ただ、コスプレも最近はお金をもらう活動に変化しつつあり、ポートレート側に移動するレイヤーさん、アイドル側に移動するレイヤーさんがいるのが現実です。

 次の図↓です。

 そして、アイドルとコスプレの中間位置には「グラビア」と入れました。水着と言い換えてもよいのですが、ここには、グラビアDVDや、コスプレのロム写真集といった活動が入ってきます。
 撮影会モデルとの相性が良いジャンルともいえます。
 この円グラフを時計に見立てるなら、いちごはうすはちょうど「アイドル」と「グラビア」の中間くらい、3時くらいの位置づけでしょうか。「アイドルもどき」なり「グラビアごっこ」といった言葉がしっくりくるのかもしれませんが、ほとんどのモデルさんが事務所に所属していないこともあり、活動もさほど活発ではありません。


 ただ、だからこそ逆に貴重なアマチュアっぽさが出せる撮影会なのだと思います。本物を目指しているわけではないけれど、グラビアアイドルっぽい経験が出来たら面白そうだな、というあたりが、いちごはうすのツボといえるのかもしれません。

 

 最後の図↓です。

 最後の図は、「コスプレ」と「ポートレート」の間、こちらには「ギャラリー」という言葉を入れてみました。いわば発表することを前提としたこだわりのあるジャンルの写真です。「作品撮り」という言葉が使われることも多いです。たとえばプロカメラマンさんを講師に招く写真教室や、地方に行く遠征の撮影、はたまたフェチ系というのでしょうか、緊縛や女児服をテーマにするといったジャンルもここに含まれると思います。

 このジャンルは撮影会としての可能性は未知数な部分もありますが、参加してみたいモデルさんとカメラマンさんの興味が合致すれば、成長分野なのかもしれません。料金設定などもきっちりとした相場があるわけでもないので、そのあたりは今後の広がりをみてみたいと思います。

 

 

 以上、撮影会を俯瞰して眺めたうえで、カメラマンさんの傾向、またそれに伴うモデルさんの趣味嗜好を加味して、撮影会を分析してみました。

 撮影会という名前や、その原理は知っていても、あまりに多種多様な撮影会の形態があり、一度整理しておきたいと思ってこのブログを書きました。

 

 ただ、冒頭でも申し上げたように、1対1の個人撮影があまりにも多く、最近ではプロダクション所属のタレントもごく当たり前のように個人撮影を行なっています。

 私がプロダクションを経営していた頃は、所属タレントを個人撮影にブッキングするなどということは考えたこともありませんでした。

 特定のファンのために1対1の時間を長時間与えることは、他のファンに失礼になるかな、と思ったものです。

 

 さらにいえば、個人撮影はどうしても料金設定が高くなってしまい、カメラマンさんを呼び込む間口が狭くなる、というのは疑いのない事実です。

 また、予約が入っているか入っていないか、がサイト上で一目瞭然であるため、モデルさんの精神的負担も大きく、撮影会開催日が近づいたモデルさんのツイッターなど見ていると胃が痛くなることしばしばです。

 

 最後になりますが、いちごはうすの少人数撮影会の場合、たとえ予約が入らなくても、それは時の運と考え、こちらの立場としてもあまり気にしておりません。

 モデルさんに宣伝を強要もしませんし、強いていえば、「当日生存していてスタジオに向かっていることだけツィートしてくれたらありがたいです」とお願いするくらいです。

 

 個人撮影は旅に例えれば、グリーン車個室の旅だと思います。グリーン車ばかり連結している列車には、私がたとえ旅好きだとしても、経済的にそうそう何度もは乗れないものです。

 少人数撮影会は、各駅停車の旅といった感じでしょうか、のんびりゆったり誰もが参加しやすい撮影会を目指して、これからも「残り1分です~~交代です!」と言い続けていきたいと思います。

 

 この少人数撮影会の上に、個人撮影の「いちごいちえ」というシステムがのっかっているのが、いちごはうすの特徴であり、手軽さであるのだ、と考えてこの原稿を終わりにしたいと思います。

 

 長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。