同級生の目 | さいあくななちゃん

さいあくななちゃん

さいあくさいてい


私は富士吉田で生まれて

本当はフリフリしたものとかかわいいものとか ピンク色っていう女の子!っていう色とか

そういうものがすごく好きだったのに、あんまり自己を表現することもできず

頑張った結果ピンク色のいちごの柄が書いてあるヘッドフォンをすることが精いっぱいの

自己表現だった。 ヘッドフォンをしているときは 好きな音楽を聞いて二人乗りする女の子たちが

ふわ~っと私の隣を通り過ぎて一人で帰る自分とか、移動教室だれも一緒に移動してくれなかったとかそういうものが、爆音でながれてくるひずんだギターが心地よくて、ちょっとだけ最強だった。自分のなかで。

高校生のときもバンドをやったりすることが精いっぱいの自己表現や発散場所の一つだった。

悲しいときはいつもうれしい音楽が轟音で鳴り響いて、ああ人や友達や先生に私の気持ちなんてわかんないんだろうな。って思った。

怖かった 人に嫌われちゃうことが あの子ちょっとおかしいねって言われちゃうことが

いちご柄のヘッドフォンを責めないでって思った。

地元で個展をやるのがすごく怖かった。

だけどお店の方お二人がすごく優しくて 私の表現していることを好きだといってくれて、

場所を提供してくれて、やりたいなって思った。

ずっといちごのヘッドフォンが私の武器でその武器も身にまとうときが怖かったけれど

そういうものも全部いいよって言ってもらえた気がして、

二人の人が、ずっと自己表現することが怖かった私を

ここでこういうことして好きでいてくれるなら もう二人の人だけにあげる展覧会でいいなあって思った。

うれしかった。生まれてきたところ 同級生の目 いちごのヘッドフォンだった私。

人と違うことをすると 言われちゃう。って今地元に住んでいる高校生の子が言ってくれた、

ちっちゃい子がどうしてこういうことをするの?って聞いてくれた全部うれしかった。

自分とおんなじように地元で自己表現することや ちょっとした既成概念が植えつけられて それを打破できなくなる学生に私みたいな弱い女になんないでほしいなって思った。

堂々とその気持ちや かわいいもの クラスの女の子たちと本当はちょっと違うっていうことが怖くて言えないこと全部すごくわかるから おうちの中だけとかでもいいよっていいたいなあって思った。


高円寺の展示にも来てくれた女の子が

さいあくななちゃんやフジファブリックの志村さんみたいに 好きなことやっている人がいると私もやっていいのなかって思えますってお手紙をわざわざ書いてもってきてくれた。

うれしくて、うれしくて私がそれはまさに志村さんがうたっている姿を見たときに思ったことだった。

だからうれしいなって思った。

もうやってよかったなあって思った。 学生の子やちっちゃい子がおもしろいなあやってみたいなあって思ってくれたらやっとあの時のダサい高校生の自分を許せるよって思った。

東京から友達が来てくれたり、地元の友達が来てくれたり、ライブをしてくれたり、

臆病でなんにも言えないなんにもない私だけど、学生の時本当のこと 恋愛つらかったなあってこと相談したり、 誰かとなかわるくなった~って言えたりする子たちが 来てくれたりして ああまだ大人って言われるいまでもこうして来てくれるんだなあって思うと、自分の自分が死んでしまいたくなる気持ちとか、むかつくやつにはちゃんとむかつくって思う気持ちとか 私の心はあっていいなって思えた。


やっと思えたの。