僕は怖くて怖くて、でも桔梗さまには言えなくて死んでしまいそうだった。
人前で使うなと言われていたし、絶対怒られてしまうもの。
コーヒーを煎れろと言われて御用意したけれど、上手に出来なくて桔梗さまは苛々していた。
終いには部屋を追い出されてしまって、応接室でソファに座って居ると5人の男が入ってきた。
「桔梗さまはいらっしゃいますか」と聞かれて、僕は「少々お待ち下さい」と応えた。桔梗さまの居る部屋を開けると、後ろから男達に投げ飛ばされた。男達は桔梗さまを狙っていた。僕は空かさず瞬間移動をして桔梗さまの周りにバリアを張った。鉛玉は床にぽとりと落ちていく。
銃の音を聞きつけた警備員が入ってくる。男達はすぐに取り押さえられた。

「この者共をどうなさいますか」
「警察に連れていけ」
「よろしいのですか」
「相手はわかっている」
秘書が近付いてくる。
「一応取り調べはしたほうがよいかと」
「ああ、それではお前に任せよう」

部屋に静けさが戻って来る。
桔梗さまは僕を殴りつけた。
「……っ」
「お前は私を殺す気か」
「いえっ」
「………帰るぞ」
「え」
「早くついて来い」