よく晴れた午後の日、小竹向原を散歩しているとシマウマに会いました。周りには人がいなかったし、僕がどうしていいか戸惑っていると、シマウマは大きな口を開けて言いました。
「こんにちは。どうも奇遇ですね。僕はシマウマと言います。僕の体はとっても大きいのでもしかすると驚かれたかもしれませんが、心配なさらないでください。危害を加えたりしないですから。そうだ、驚かせたお詫びにプレゼントを差し上げます。どうです、いかがでしょう。」
僕はシマウマと人間のプレゼントの概念がずれていないかを確かめるために、何がプレゼントなのか尋ねた。干し草をもらっても僕は何も嬉しくない。
「限りなく100%に近いプレゼントです。それはあなたの欲望を満たしてくれる物です。ご存じでしょうが、この世に完全な物は存在しないのです。完全な物のように見えているものは、その一面にしかすぎないのです。完璧な音楽が存在しないように、完璧な愛が存在しないように。そして私からのプレゼントは目には見えません。あなたの中にプレゼントをきちんと入れて置きましたから。それでは、またお目にかかりましょう。」
僕は翌朝、小竹向原にて散歩をした。そして仕事を辞め、彼女と別れた。持っていたすべての小説を捨て、シューベルトやサザンオールスターズを聞くことを止めた。
そして僕は、新しい仕事を見つけ、新しい彼女を見つけた。三省堂でディケンズと上野千鶴子のフェミニズム論を買い、YMOのCDを聞いた。
そこには限りなく100%に近い僕がいた。100%ではない部分を追い求めながら、僕は限りなく100%に近い生活を見つけた。不完全な何かが合わさった、満たされた生活は僕を概ね満たしてくれた。