勉強について、おもしろい文章をみつけた。

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外国の書物は人に教わって読むようなことではいけない。
字引を引いて独(ひと)りでズンズン読むようでなければならぬ。
学問の道は涵養(かんよう)を尚(たっと)び、躁進(そうしん)速成を戒めるものである。

※涵養 - そのうち実が結ぶように、じっくりと底力を蓄えること。
※躁進速成 - 地に足をつけず、急いで達成しようとすること。

眠いと思ったら眠ればよいのである。
なにもねじり鉢巻で勉強する必要はない。
お花見がしたい、鳥の啼く声が聴きたいと思ったら、一升瓶をもって遊びに出るがよろしい。
窓をしめて一室に閉じこもることはない。
ただ、常に学問を念頭から離さなければよいのである。
そうすれば得るところが自然と深くなってゆくものである。

朝(あした)に一語を暗記し、夕べに片言を暗誦し、拳々服膺(けんけんふくよう)すれば、日に月に学問が進む。

※ 拳々服膺 - 心に留めて忘れないこと。

これを積みかさねてひさしければ、耳目の触れるところ、みな暗記熟達していないところはなくなってしまうのである。
そうすればなんの書でも読めないものはなく、なんの業でも成就しないものはなくなるはずである。
 
― 高梨健吉(著)『文明開化の英語』に出てくる箕作阮甫(みつくり げんぼ)の言葉。